プリン山
わたしは
プリン山に顔面を押し付けられて
息苦しかった
これでは明日の朝には死んでしまうだろう
わたしは
このプリン山を爆破することに決めた
決めたのだ
この夏
プリン山を爆破することに決めたのだった
ねじり鉢巻きを締めて
下半身には何も着用せず
爆破することに決めたのだった
(悪の根源はなんだ?)
わたしはそう思った
何故そのようなことを思ったのか謎だった
(悪の根源はなんだ?)
わたしにはそんなことはわからなかった
きっと頭が悪すぎるからだろう
けれど
目の前のこいつの存在はとにかく不快だった
………それだけで十分だろう?
爆破だ
それしかない
満月の晩に飛び散ったプリン片だった
空からでっかいプリンが降って来る
そして通行人はプリンが直撃して即死
死者が出た
死者が出た
それでもいつかは誰かがやらなければならなかったことなのだ
それをやるのが自分だっただけだ
理由はもうどうでも良かった
プリン山
気付けばそこにそびえ立っていた
最初からあったのだ
そういったものを
ただ黙って受け入れてはいけないのだ
「爆破しろ」
「ああ」
誰も人のいないところで行われる返答
もう必要無いのだ
轟音を立て成層圏から崩れ落ちるカラメルソースで
わたしの服は真っ黒に染まってしまった
わたしは始めは白い服を着ていた
その筈だった
けれど今ではその記憶が間違っていたのかもしれないと思えるほど
わたしの服は真っ黒だった
「わたしは白い服を着ていた」
自分自身にそう言い聞かせてみた
それを他の誰かにも言ってほしかった
けれどここにはもう誰もいなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます