5枚の写真。
文化祭当日。
写真部の教室には4枚の写真が飾られた。
1枚目は
眞嶋、榎元、走月と俺が天体望遠鏡を覗いている後ろ姿を写した写真。
撮ったのは広屋だ。
2枚目は
すっかり薄汚れた写真部の写真をローアングルに夕方の教室をバックにして撮った榎元の写真。
3枚目は
眞嶋と、広屋、榎元が笑っていて、そして後ろには新聞を読みふけっている俺が写った走月の写真。周りには走月の撮った部員の写真も小さく飾られていた。
4枚目は
眞嶋の写真だ。
窓際の席、カーテンのすぐそこの4つの席をフレームに入れて。眞嶋含めた部員4人が好きな席、理由は揃って「落ち着くから。」だった。俺もこの席は好きだ。だが俺は教壇から見るその席が好きだった「俺は教壇がお似合いだからな」というとアイツらは笑った。アイツらは窓際、俺は教壇。この位置関係を、空間の存在だけ切り取った淡い写真。
5枚目は飾らないことにした。
俺の写真だ。
一度眞嶋と同じように撮ってみたが。俺はただの空間になってしまってて、それもそうだ。撮りたかったのはこの写真じゃないんだから。
窓際のアイツらの席と、写真部の看板、アイツらの使ってたカメラをそれぞれの席において撮った。
でも。
「…アイツらがいなきゃ、ダメだな。」
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