第19話 秋刀魚のハンバーグ

 健太は骨がいやだと魚をあまり食べてくれないので、秋刀魚をハンバーグにするのはいつものことだ、秋刀魚をおろして叩き、薬味と調味料で味付けして、片栗粉を混ぜる。骨は、抜いていると言ってこっそり細かく叩いている。

 健太は見るとはなしにアニメを見ている。

「おっ、いい匂いじゃん」

「はいはい、もうすぐできるからね」

「でも魚かーあー肉くいてぇー」

アニメの犬が大きな骨付き肉にかぶりついている。

「あんなのとかさ」

健太はつまらなそうにテレビを消した。

「カードゲームのアニメやってるかもよ」

「いい、おれボーイファイトやんないもん、やっぱやるならデュエルズだな」

健太はそのまま、宝箱というアルミ缶からカードを取り出して見ている。

「もうすぐ焼けるわよ」

「もうちょっと」

カードゲームの違いなど私にはわからないけれど、あのキラキラのカードは強いのだろうか。

「こないだバギラゴン買ったから、禁術解放するためのデッキを……」

いつものように、私は茶碗を並べ、ご飯と味噌汁をよそる。健太のいっていることはわからないけれど、あのカードならリサイクル300円で見つけた、すごく安い、らしい。

「ご飯よ」

呼んでも、カードに夢中な健太は返事をしない、

「ほら健太、ご飯食べなさい」

もう一度だけ呼ぶ、もちろん無しのつぶてだ、

「じゃあいないならハンバーグ食べちゃいます」

「あっ、食べる食べる」

健太は慌ててカードをまとめ席に着いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る