楽しい日々

以前話したように、我が家は元々仲が良かった。そして崩れていった。


母は、よく笑う人で家事もうまかった。また、家計を支えたいと複数のパートを掛け持ちしていた。一方、父は母を気遣い優しかった。仕事は大学で講師をしていたこと。しか知らなかった。兄弟は二人いるが二人とも私とは正反対だった。

二つ上の姉と、四つ下の弟だ。姉の方は就職して建設会社に勤めている。中卒のため、世間では偏見の目で見る人も少なくない。だが姉は、高卒認定試験で高校卒業う資格を得ようと勉強しながら、立派に社会で働いている。弟の方は、学校に行きたがらない。言うなれば”引きこもりだ”。家族と以外人とコミュニケーションを一切せず、人見知りで友達を作ることが出来なかったことでいじめにあったらしい。それ以降人間不信になってしまったらしい。両親はとにかく肯定も否定もしないので本人はいまのところ改善策を考えている様子もない。


私たち家族はそれぞれの良いところ知っていて、尊敬し合うことができるほど仲がよかった。それは私の自慢であった。この頃私たち家族は正真正銘の”仲良し家族”であった。それが何らかの形で崩れたのはこの時予想だにしなかった。


私が小さく姉もまだ中学校に通っていた頃、私たち家族はキャンプに行った。家族水入らずで絆を深めるのにちょうど良いと母が予定を立てたのであった。このことがきっかけで我が家に不穏顔訪れるとは誰一人として思わなかっただろう。

このキャンプは2泊3日で近場のキャンプ場に行くことにした。そこは海水浴場も山登りもできるところでみんな待ち遠しかった。1日目はキャンプファイヤーでバーベキューとマシュマロをスモアにするなど落ち着いた楽しい夜になった。

2日目、海水浴場に来た。母と弟は浮き輪で海に浸かったり、砂遊びをしたりしていた。姉の方は、海を泳ぎまくっていた。一方、私と父は荷物番をしていた。

そこで知らない女の人が父に話しかけて来た。会話の内容も知り合いなのかどうかもその時の覚えていなかったけれどこの女の人の顔だけは覚えていた。母もこの状況に気づいたのかこっちに来たが、その時にはその女の人は言ってしまっていた。母は気にはしていなかったが、私の方が気になって仕方なかった。最終日いつも通り過ぎていった。

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