属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか?

赤城クロ

プロローグ

属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか?

 放課後の学校の屋上で、学生服を纏った二人の男女が今静かに見つめ合っている。

 一人は学校一のイケメンと呼ばれる高校2年生、龍徳寺(りゅうとくじ)・ツネヤス君!

 188もある身長に、そのクールで掘りの深い顔つきをメガネを纏い、多くの女性徒のハートを盗む、学校一の人気者!

 その上株で大変設けているので、学生ながら大金持ち!つまり、最良物件な男!

 そして、もう一人は同じく2年生で私の同級生の友人、それでいてクールビューティ、水川(みずかわ)・アオイ!

 名前の通り、ボサボサの青いセミロングの髪、つぶらな瞳が印象的な垂れ目、そこが何を考えているのか分かんないからカワイイ!

 更に体も132㎝と小柄でカワイイ!

 ついでに童顔なのもカワイイ、全てカワイイ!

 さて、そんな顔色一つ変えない二人が今、遂に……。


 「属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか……?」

 「分からないですが……」

 「そうですか……」

 「…………」

 「…………」


 良い感じにならなかった……。

 あーアオイのバカ、確かにアタシは「どんな属性の子が好きか探ること、これが相手と付き合う第一歩よ!」って言ったけど、ドストレートに探ることないじゃん!そこは探り探り言っていくのが基本でしょ!?

 私はそう思いつつ、屋上の扉の隙間から二人を覗きつつ拳に力を込める。

 そんな私の熱意が伝わったのか、アオイの目がちょっとキリっとなった。

 さぁ、監督私、アオイ選手にサインを送る(龍徳時の胸に飛びついてやっちゃえ!)と。

 おっとアオイ選手、しっかり横目で確認して、小さくコクリ、コレは期待できる。


 「あの……」

 (さぁいっけえぇぇぇぇぇぇぇぇ!)


 さぁ行くのよ、アオイ!

 飛びついてそのままキスに持ち込めば大概の男は落ちる!

 落ちなくても、キスし続ければ絶対落ちる!

 恋愛雑誌もそう言ってた!

 さぁ今こそ……、あの子、手をバタバタさせてどうしたの?

 ん、バタバタも止めた……。


 「…………」

 「…………」

 「身長差があって胸に飛びつけません……」

 「そうですか……」


 あぁぁぁぁぁぁ、た、確かに身長差がありすぎて飛びつけないかも知れないけど、やれば出来る、とにかく飛びついて……、でも位置によっては事案よね……。

 いや、それなら男はなおさら燃えるはず!

 さぁ監督私、追加の指示(ともかくやっちゃえ! 抱きつけばいける!)

 よし、きっとあれは理解為ているな、よし行け!


 「……監督がとにかくやれ!と言っているので抱きつきます……」

 「監督……?」


 それは言わなくて良いから、アオイ、行け! GO!


 「や~~~……」

 「ぐふっ……」


 行った~~~! 龍徳寺の腹部にアオイの頭が行った~~~!

 おっと思った以上のダメージ、静かに腹部を抑えて倒れたぞ~~~!

 コレはチャンス!

 私は急いで二人に駆け寄ると。


 「セコンド登場、ワン、ツ~、スリ~、フォ~、ファイブ、シックス、セブン、エイト、ナイン……………………テン! カンカンカーン! アオイちゃんの勝利だ~! ほら、アオイちゃん、ピースは?」

 「ピースピース……、ところで、監督であるジュンコは出てきて大丈夫なの?」

 「は!?」


 つい体が勝手に反応してしまったけど、ダイジョーブ、きっとかれは気絶して……。


 「…………」

 (な、なんか冷たい目つきで見てる~~~)


 どうしよう!? 冷や汗がダクダク流れて止まらない。

 私が黒幕だと分かってしまえば、結婚式の時『良い男紹介して?』『いいよ~』大作戦が台無しに……。

 こ、こうなっては仕方ない!


 『証拠隠滅!』

 『うっ…………』


 私はエルボードロップを腹部に喰らわせ、龍徳寺は泡を吹いて気絶した。

 ん、これはチャンスよね!


 「さぁアオイ、今こそ上に乗るのよ! そこを私が写真で激写! それを見せれば、カップル誕生、そこから結婚までいけるわよ! さぁ龍徳寺の上に乗って!」

 「分かった……」


 ふふふ、これで計画が上手くいって、私の(友達のお金持ちの男と結婚)計画を……。


 「うんアオイ、十の字を描くように乗る訳じゃ……、どちらかと言えば、十字架みたいよね……」

 「ダメ……?」

 「ダメ! ちゃんと体と体を重ねなさい、特に股間の辺りに重ねると良いわね! そうよ、ついでに龍徳時の胸元のボタンを取って……」

 「佐々井。 お前、何やっとるんだ?」

 「へ? あ! アンタは不良女教員の高岡!」

 「先生位付けろ、ボケ」


 気がつけば、背後に短髪の鋭い目つきの女が一人、口にたばこを加え、ジャージのポケットに手を突っ込み立っている。

 な、何で不良女教師の高岡がこんな所に……。

 いや、また恋人製造器の私を連れて行く気じゃ……、そうはさせる訳にはいかない!


 「高岡! 今日はアナタの思い通りにはいかないわよ! 今日こそ私は最後まで恋のキューピットを、いだだだだだだだ……耳が、耳が!」

 「バカな事を言ってないで行くぞ~~~」

 「は、話せぇぇぇぇぇぇ、不良教師! 私はキューピ……」


 そして私は耳を引っ張られ職員室へ連れて行かれるのであった。

 

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