念動闘士サイナックル

ムネミツ

第1話 宇宙で殴るロボがいた

・・・・・・いつかの時、どこかの宇宙の世界。


人類は人型巨大ロボットを作れるようになり、宇宙に進出できるようになっていた。


だが宇宙には、侵略を狙う宇宙人や害獣である宇宙怪獣がいた。


人類が、新たな外敵に立ち向かわざるを得なくなったそんな世界。


広大な宇宙空間にある隕石群で、それらは戦っていた。


それは、黄色い40mほどの大きさの人型の巨大ロボット。

武装を持たない、格闘家のような黄色いロボットであった。


対するは、巨大なカブトムシに似た異形の怪物。


ロボットが胸の前で両腕を構え腰を落とす。

「・・・・掛かって来いよ、虫野郎っ!!」


ロボットの中、球体状のコックピットでロボと同じよう

に構えるパイロットが叫ぶ。


そのパイロットの格好は、下半身はスパッツの上に廻し。

上半身は裸、胸板も腹筋も鍛えた成果が出てきた感じの筋肉質。


頭部にはヘッドガード、両手にはオープンフィンガーグローブと

相撲と総合格闘の選手を混ぜたような常識外れの格好をした少年だった。


パイロットの少年の名は、花川戸拳はなかわどけん


祖父の花川戸藤兵衛はなかわどとうべえ博士が経営するはっきりいって

弱小ロボット格闘技団体である花川戸ジム。


その唯一の所属選手にして、宇宙怪獣などを狩る怪獣猟師かいじゅうりょうしを勤める兼業格闘家だ。


大会などの試合がない日は、トレーニングを兼ねてこうして宇宙怪獣の狩猟や駆除

で稼いでいる。


ロボット格闘技でも怪獣猟師でも拳達、花川戸家の商売を支える大事な唯一の財産

である巨大ロボットがこのサイナックル。


ロボット格闘技の競技用の機体の為、武装は素手。


だが、このサイナックルはある特徴があった。


それは超能力者に対応した機体であること。


パイロットの拳が念動力を使える超能力者である為

拳の念動力を、ロボの武装や動力に変換する装置。


花川戸博士が開発したサイキックコンバーターと、パイロットの

意思を機体に伝達して操縦するサイキックモーションリンクを搭載。


陸海空のみならず宇宙や異次元でも、自由自在に動き回って活動できる

汎用性の高いロボットだ。




挑発に乗り突っ込んできたカブトムシの怪物に対して

「バンプアップ!!」

と少年が叫び、ロボが両前腕を変形させて右の掌底を突き出して構える。

突っ込んできたカブトムシの角がロボットの掌底に突き返された!!


よく見ると、ロボの掌に埋め込まれたレンズが淡い光の膜を張っている。


再度ロボの掌が光り、突き返しを喰らったカブトムシの体が浮き上がり腹を見せる。

「今だ!!左の拳に魂込めて、全・力・全・壊のサイキック中段突きぃッ!!」


ロボットの全身から湯気のように光のエネルギーが放出される。

そして繰り出されるのは、光を纏った左ストレートッ!!


中段突きの名に違わず、カブトムシのドテッ腹をパンチでぶち抜くっ!!


ロボットに腹を破られたカブトムシは、ロボットから溢れ出る

謎のエネルギーの光を体内に流し込まれて爆散っ!!


ここに雌雄は決したのであった。








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