短編
鈴平涼音
河川
橙色に染まる町を南北に分断して流れる大きな川がある。
整地された堤防の上をぼんやりと歩く。
まだ少し肌寒くて、早く暖かくなれと心の中でひとりごちる。
道の先から大きな犬を連れたおじさんと目が合った。
気まずさから会釈をすると、おじさんも返してくれた。
上げた視線の先、夕焼けを背景にカラスの群れが山に帰って行くのが見えた。
後ろから自転車を二人乗りした若いカップルが通り過ぎる。
薙いだ風に乗って甘い匂いが漂う。
短く息を吐き出して、来た道を戻り始める。
先に通り過ぎた犬の尻尾が物凄い速さで左右に振れていて少しだけ笑みが溢れた。
犬に追い付かないようにゆっくり歩き途中で橋を渡る。
裏路地を縫って帰路に就く。
どこかの家から美味しそうな匂いが漂ってくる。お腹が鳴った。
ああ、今日はカレーにしよう。
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