アネモネの花を君に

@shiori0714

第1話 生まれてきた意味

生まれてきた意味ってなんだろう。なぜ男で生まれてきたんだろう。なぜ?なぜ?考えればきりがないかもしれない…。でも、きっと誰でも一回はかんがえるんじゃないかな?


落ち込む時、悲しい時。それば大小人それぞれだけど。


俺は小さいことから、人の魂の設計図が視れてしまった。まぁ、簡単に言えば宿命ってやつ。かっこ良く言えば………未来透視。ロマンチックに言えば、運命の相手。誰と誰が結婚して、見たくないけど、死期も分かってしまう時もあった。



だから、自分の死期を見てしまった時、神を呪った。俺は親の顔を知らないまま、教会の前に捨てられていたらしい。だからこそ、赤ん坊の時から持ってるロザリオを握りしめ、神の前で泣いた。なぜ生まれて来てしまったのですかと。俺はこんな特別な力じゃなくて、ただ人並みの幸せが欲しかっただけなんだ。


17歳の冬、自暴自棄になって、ものすごく荒れた。真面目に行っていた学校もサボって……。


でも、自分の存在意義を少しでもみつけたかったんだ。人に心配されたり、恐れられたり、最悪な事さえも、俺の生きている証を誰かに見つけて欲しかったのかもしれない。


「……あ、あの二人将来結婚すんのか……へぇ……」


街のビルの片隅に座って空をボーッと見つめ、モノクロの世界を眺めてたある日、俺は一組のカップルを見つけた。いつもと何も変わらないはずなのに、なぜかその二人が気になる。儚くも美しい女性と呼ぶにはまだあどけない雰囲気をもつ女の子と、とてもまっすぐな瞳をした青年。




(俺の事忘れないで!)



そんな俺を救ってくれたのは、紛れもなく、君たち二人……。


だから、20歳のおれは、残り少ない時間の中で彼らとの思い出を無理やりつくることにした。










入社したのは、ドラマ制作会社。映像業界。

3年前のあの二人の手がかりになる場所…。




成人した俺は住み慣れた施設を離れ、この大都会に、きた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る