第49話 ジルの修行2-2
「おはようございます。昨日はしっかり練習できましたか?」
「はい!しっかりできました」
「では早速いきますよ。
クーリアさんは昨日と同じ状況をつくった。
同じようにクーリアさんはいろいろな角度から攻撃を仕掛けてきた。
これなら昨日の成果を見せられる!
「
「ん?」
昨日覚えた魔法だ。
これで後ろからの攻撃は防げるはず。
「よっと!」
「いいですね。その魔法があれば後ろを見ることができます。しかし、よく一日で覚えられましたね」
「とにかくどうすればいいのか必死に考えたんで!」
「でもその魔法には弱点があります。これはどうでしょうか?」
弱点は、この魔法を発動させるときに目を瞑ってしまうこと。
それを知っているクーリアさんは次の攻撃へと動いた。
「あぶねっ!ぎりぎりだったな……」
「すごいです!まさか目を開けずに避けるとは」
俺はいまだに目を瞑ったまま。
後ろを見えるようにしたら前が見えなくなる。
それを解決した方法はいたって簡単。
「一体どうやっているんですか?」
「見える個所を増やしているんです」
「前と後ろにですか?同じ魔法を複数発動させていると?」
「まあそんなもんです」
後ろが見えて前が見えなくなる、それなら前も同じようにすればいいんじゃないのか?
そう思って試しにひとつでやってみた。
もちろんすぐに成功。
それなら常に動かせばいいんじゃないのかな?と思ったけど見たい場所へ移動するとき、すこしラグが生じた。
なら常に上から見えるようにすればいいと思ったけど、この泡に邪魔をされて見えなくなる。
だから前と後ろにつくってみた。
どんな状況かというと、目の前に防犯カメラの映像が2つ並んでるような感じ。
「なるほど。そう考えましたか」
「苦労しましたよ……」
「でも、それならこの魔法は
「変わるんですか?」
「はい。この魔法はあくまでも見える場所をひとつ増やすだけなので」
俺の場合は前後の2つ。
たしかに名前的に考えるなら第四の目をつくったことになる。
「そうですね。名前は
あ、名前を決められちゃった。
あまり考えていなかったから考えてくれてよかったけど。
こんどからその名前で使っていこう。
「ちなみにですけど、
「そうなの!?」
うそでしょ!?
クーリアさんが使っているとき目を閉じていたからそうかと思っていた。
それにはじめてつかったときは何も起きなかったし。
「最初使ってみたとき何も起きなかったけど……」
「目を閉じると実際の目ではなく、魔法のほうに集中できるから見えるようになります」
「じゃああの時目を閉じていたのって」
「
「へぇー、そうだったんですか」
「それに、目を閉じないとジルくんを見ていることがばれちゃうし……」
「え?何か言いましたか?」
「なんでもないですよ?」
何かささやいていたと思うんだけど。
魔法の名前がしっくりこなかったとか?
クーリアさんこだわりそうだしなあ。
「ちなみにですが、ほかにやり方を見つけれました?」
「いや、これがある!って思ってからこれしか見つけてないです」
「そうですね。そんなに早く沢山のやり方を見つけられたらここに来る必要もないと思いますね」
そりゃそうだ。
今回のひらめきが奇跡と思うぐらい早かったんだから。
というかこれ以外にも方法あるの?
全然思い浮かばなかったんだけど。
「ほかのやり方ってなんですか?」
「……まあひとつわかったからいいでしょう。次の段階までは教えるのでやり方を覚えましょう」
「はい!」
「今回は目、ほかに人がいるということが分かる方法は何だと思いますか?」
人がいることが分かる?
一番最初に来るのはやっぱり目。
いるっていうことが一発でわかる。
「あっ!耳とか?」
「そうです。耳で人がいるかどうかわかったりします」
足音、持っているものが何かに当たっている音。
いろいろな音からそこに人がいるってことがわかることがある。
でも目ほどでもない。
「試しに使ってみましょう。
「はい!」
どのタイミングでいこうかな。
目を閉じているから前でも後ろでも変わらない。
ならあえて前から!
「えっ!?」
「こんな風に止めることもできます」
ここは静かだけど音を立てずに飛び込んだはず。
音もしていないのになんで!?
「ここは静かで音が聞き取りやすいんです。普通聞こえない音も、魔法があれば聞こえるようにまでできます」
「すげぇ……」
「ただ、この魔法を知っている敵でしたら無音にさせてきたり、大音量を出されると使えなくなります。」
「じゃあ覚えるのは」
「デメリットのほうが大きいので優先して覚えなくてもいいです。この魔法は主に偵察などに使われるぐらいなので」
でも使えるようになっても悪いことはないでしょう。
一応覚えておこう。
「次に何でわかると思います?」
「気配とか?でもそれって」
「そうです。勘ですので有効的ではありません」
じゃあなんだろう?
それ以外で人がいることに気づく方法なんてあったっけ?
「見えているもの以外にも目を向けるといいかもしれません。人間にあるようなものなど」
「うーん、心とか?」
「そうですね。ただ、読心は覚えるのが難しいので今回はなしです。ヒントいりますか?」
「お願いします」
「こ、これです」
クーリアさんは俺の手をとり、ぎゅっと握った。
えっと、これがヒント?
ただかわいい人に手を握ってもらったご褒美なんだけど。
それにクーリアさん、思った以上に手があったかいな。
さっきまで動いていたからかな?
「そうか!熱だ!」
「そうです。魔法で熱探知ができます。状況にもよりますが、多数に囲まれていたら人数までわかりますし、さっきのように泡が浮いている場合、泡は人ほど温度が高くないため人だけを見つけることができます」
「なるほど。ところでクーリアさん」
「なんでしょう?」
「その、手を離してもらえればと」
「す、すみません!」
ずっと手を握りっぱなし。
うれしいには嬉しいけどこのままだと動けない。
「では、頑張って覚えましょう」
「はい!」
「まずは目を開けたまま、
訓練再開。
目を開けたまま使えるようになるまではそこまで掛からなかったが、常に集中しないと薄れてきたりするので慣れるまで大変だった。
ほかにも上がってきた魔法も覚え、第二段階が終わった。
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