第23話 怪しい影
夕方。
俺はフウちゃんの相手をしていた。
なんとかやけどにはならなくて済んでよかった。
「ちっ、当たらなかったでありんす…」
「おい、今なんか言わなかったか?」
「さぁ?」
なんつう笑顔で言いやがるんだ。
そのうちこんがり焼かれちゃいそう。
「時間も時間だし、食堂へ行こうか!」
「「「「「はーい!!」」」」」
*
いつも通りの夕飯。
また一日が終わっていく。
いつも通りの夕飯が終わり、部屋に戻ってきた。
「ちょっと卵について気になるからあっちに行くけど、シロも来る?」
「いくー!」
ということで卵はお留守番。
かといって木箱に放置って言うわけではない。
冷えないように温めておいた。
「じゃあ行こうか」
「うん!」
*
「ところでなんでこっちに来ようと思ったのー?」
「卵について調べたくてね」
おそらくドラゴンの卵だろう。
けどどうしてあったのかも知りたいし。
「どこから取ってきたか覚えている?」
「う~ん、たぶんこっち!」
あいまいな答え。
一日経ったら忘れちゃうもんかな。
割と衝撃だったら覚えていそうだけど。
「たしかここ!」
「これは…!」
「何もないよー?」
何もない。
しいて言えば凹んでいるけど。
「この凹みは?」
「卵が割れないか試した跡!」
「お、おう」
割ろうと試したとは言っていたけどそこまでやっていたのか…。
たしか卵の中には…。
いや、やめておこう。
気持ちが悪くなってきちゃうからね。
「ちょっと周りとも見て回るか」
「シロは遊んでていいー?」
「いいよ、ただこの辺は荒らさないでね」
「わかったー!」
とまあシロは遊びに行った。
なんか犬の散歩みたい。
「さて、何か手がかりでも探すか」
シロを見つけた時は家の近く。
手がかりという手がかりはなかった。
けど今回は手がかりがありそうな気がする。
*
それが数時間前思ったこと。
手がかりなんて何も見つかんねぇ…。
見つかったことと言えばシロが大暴れした跡。
どんだけ暴れたんだよ…。
『ジルー!こんなの落ちていたよー!』
「これは、鱗か?シロのじゃなくて?」
『よく見てよ!色が全然違うよ!』
色と言われても。
月の明かりだけで見ているから見づらい。
「
『でしょー?シロのはもっときれいだもん!』
まあシロのほうが純白というか綺麗に見えるには見える。
人それぞれだけどね。
落ちた鱗だからすこし汚れている。
それでも頑丈で欠けてすらいない。
「どこで見つけの?」
『こっちだよ!乗る?』
「いいのか?」
『いいよ!その方が早いからね!』
ということでドラゴンに乗って移動。
快適!
とは言えない。
ガクンガクンして腰が…。
『ここだよ!』
少し離れた草が生い茂っているところ。
「ほかにも鱗があるね」
『住んでいたのかなー?』
「たぶんそうだと思うよ。ほら、そこに骨があるでしょ?」
『お肉―!』
「骨しかないから食べられないよ!」
大きめの骨もあれば小さい骨もある。
それに器用に小さな部分まで食べられている。
「これは…ほかの生物、人や何かと生活していたのか?」
『なんでー?』
「シロさ、その姿でこの骨についている肉を綺麗に食べれる?」
『ん~、折れちゃうか余っちゃいそう!』
「そういうこと。ドラゴンと一緒に誰かがいたのかもしれない」
でもなんでそうなったら卵を置いていったんだ?
ましてや自分の子供だったかもしれないんだぞ?
うーん、考えれば考えれば謎が深まるばかり。
どういうことなんだろう。
「もう夜も遅いから帰るか」
『じゃあ戻るね!』
「ポンッ!」
その戻り方気に入ったのかな?
まだ見てて楽しめるけど。
*
「ただ――だれー?」
「どうしたの?」
前に進もうとしたらシロが止まった。
ぶつかるほんの少し手間で俺も止まった。
「誰かいないー?」
「!?シロ!あいつを抑えるぞ!」
「え!?なんで!?」
「卵がない!」
「ほんとだ!」
誰だこいつ!?
いきなり戻ってきたら卵がなくなっているし。
考えるのは後だ。
今は卵を取り返さないと!
*
「まてぇー!」
「まてー!」
窓から出ていったのを俺たちも追っていく。
この姿だとやっぱり遅く感じる。
「シロ、ちょっとよって!」
「はい!」
「
「あれ?速くなった!」
俺とシロだけにつけた魔法。
風の魔法で移動を速くできる。
原理とかはわからないけど。
「……ボソボソ」
「おっと!」
「ひょいっと!」
これは石か?
敵も負けないと言わんばかりに反撃をしてきた。
反射神経で避けるしかないけど避けるときにも魔法が手助けをしてくれる。
戦闘のセンスがある人が使ったらやばい魔法かも。
*
「まてー!」
「ま、まてー!」
は、はえぇ。
魔法を使ってる俺たちでも捕まえられない。
「誰なんだろうね」
「あの人―?」
「そう、なんで卵を持っているのを知っていたんだろうか…」
泥棒ならまだ分かる。
けどここに泥棒が入るとは思えない。
セキュリティという言葉があっているかはわからないけど、ここには実力がある人が多い。
「あの話、本当なのかしら」
「たぶん本当だと思うよ」
「シロ!こっち!」
「ムグッ!?」
追いかけているときにほかの声が聞こえた。
声からしてユリ先生とシルヴィ先生だろう。
もう夜で寝ている子もいるから見つかったらまずい。
「やっぱり、悪魔っているのかしら?こんな学校に入るのはおかしいと思わない?」
「そうだよね。悪魔って大人より大きいぐらいのが多いし、噂なら噂であってほしいけど」
なんだと!?
悪魔がいるのか?
本でしか見たことが無いけど、リビアルの世代で人々を苦しめた存在。
今はあまり動いていないと書いてあったけど。
「シロ、向こうから行ってさっきのやつを追いかけよう」
「わかったー」
*
「いた!こっちだ!」
先生に見つからないように探していた。
スパイゲームみたいで少しワクワクしたのは秘密。
「あれ?止まったよー?」
「シロ、気を付けて」
逃げていたのに急に止まった。
相手が何をするかはわからない。
ここは慎重に動かないと。
「「!?!?」」
え…え!?
黒いフードをかぶっていて顔は見えなかった。
それに悪魔の話をしていたから悪魔を想像していた。
けど、そこにいたのはラウくんだった。
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