2-14 試験2日目 その9 幻獣ラミア

夜が明けた。

昨日に引き続き晴天だ。女子たちは何事も無かったかのようにテントの中から出てきた。外の椅子に座っていた僕に、おはようと言った。


「何事も無くて良かったね。」

「良く眠れたわね。」

「あなたもよく眠れた?」

「覗いてないわよね?」

「覗いてません!!」


因みに、深夜、試験官が魔物避けの薬を越えて、弱い魔物を中に入れていた。僕はその魔物はパトリシアに追い出してもらったのだが、同じ事をされて、大騒ぎしているグループもあった。あなたたちがゆっくり眠れたのは僕のおかげだよ!


「今日の計画は?」

「森の北に集合場所があるので、そこに向かう。」


最終目的地の集合場所は、決められた時間のみ、成功とみなされるため、前日とか、今日早く着きすぎるとか、遅れて到着もダメとのこと。


着替えや朝食を済ませ、片付けを僕が済ませて出発した。もちろん荷物持ちは僕だ。


目的地の場所に向かってしばらく歩いていくと、大きな洞窟の前に着いた。そこには、【危険!絶対入るな!】の看板が建ててあった。


「こんなところに危険な場所が有るなんて知らなかったわ。」

「聞いたことあります。ここに入ると、生きて出れないんですって。」

「本当だ、渡された地図にも入るなって書いてあります。」

「さっさと行くわよ!」


女子たちは先に進む話をしている。すると、陰からパトリシアが話しかけてきた。


「エリック様、気づいておりますか?」

「ああ、気づいている。ここには幻獣がいる!」


間違いない、幻獣の独特の気配がする。


「この幻獣の力、どう思う?」

「幻獣には申し訳ありませんが、今のエリック様であれば、何が来てもノーダメージでしょう。」

「ならば、彼女たちの練習にちょうど良いか。」

「いやいや、普通の人間では歯が立ちませんぞ!」

「まあ任せてよ。後フォローもしてね。」


パトリシアはしぶしぶ従った。


女子たちはそそくさと通り過ぎて行く動きをしていた。


「ここって、面白そうだね、時間があるし入ってみようか?」

「何言ってるの?あんたこの看板が見えないですの?」

「知ってるよ。でも、もし魔獣がいるとしたら、倒したら親たちに認められるのでは?」


去ろうとしていた彼女らの動きが止まった。


「僕がフォローするから、行ってみようよ。時間もあるし。」

「あなた信用できますの?攻撃できないんじゃないの?」

「大丈夫。ちゃんと守ってやるから。」

「フォローもしていただけますか?」

「僕を信じて!」

「そうね、倒したら、お父様も認めてくれるかも。」


そう言って納得した。意外とアッサリだ。よっぽどイヤなんだろうな。


僕は先頭になって洞窟の中に入っていった。暗闇だったが、クリスティーナの照明魔法で道は見えている。

クリスティーナはより妖艶な姿にみえ、こりゃいかんと自分に言い聞かせる。


先に進むと光が見えた。外に繋がっているらしい。


なにも無く洞窟を抜けた。林の中だ。


「なんだ、何も無いじゃない。」


林の中に道があった。そこを抜けると大きな草原があり、真ん中に人間の大人サイズの魔獣がいた。


「何あれ?魔獣みたいだけど、見たことありませんわ。」

「あれは、ラミアだ。そして魔獣ではない、幻獣だ。」

「へー幻獣ね。って、え~~~!」


クリスティーナとカレンは、へなへなと地面に座り込んだ。よほどの恐怖と驚きなのだろう。

しばらく向き合ったままだったので、ラミアは僕らに話しかけてきた。


「お前たち、なぜここに来た?入り口の看板が見えませんでしたの?」

「ああ、分かっていたさ。だから来た。」

「分かっていて来るなんて、どういうことかしら?」

「もちろん、君と主従契約するためにね。」

「ほう、若い人間が、冗談にしては過ぎますわね。」

「僕は本気だ。因みに戦うのは彼女らだが。」


彼女らはとても驚いた。


「あ、あんた何いっているの?バカじゃないですの?何で私たちが!!」

「魔獣でも大変なのに、幻獣と戦うなんて聞いたことありません!」

「神様、どうぞお助けを。。。」


騒ぎだした。


「大丈夫だよ、僕がついている。」

「大丈夫な訳あるかー!」


それを見て待っていたラミアは言った。


「そろそろいい?」

「いつでもどうぞ。」

「では行きますわよ!」


ラミアが襲ってきた

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