2-7 試験2日目 その2 あの女子3人

グループメンバーは女性3人だった。

まあ、僕にとってはメンバーが男だろうが女だろうが、生き残る自信はあったのであまり気にならない。


ただ、キャッキャ言う女子よりも、男子の方が、長い夜いろいろと気兼ねなく話が出き、友達も作りやすいのだろうなと思っていたので残念だった。


そう思いながら、紙をもう一度見直した。グループ名「C-5」と記載されていた。僕はCグループが集まっている場所へ移動した。人数が多いため、あらかじめA~Cで分けておいて、そこから探したほうが楽だということだろう。


Cの場所に移動して、記載してあった名前を呼んだ。


「クリスティーナさん、シャーロットさん、カレンさんはいますか~?」


大声を出すと恥ずかしいので、10メートルくらいの人に聞こえるくらいの声で呼んだ。


しばらくすると


「もしかして、あなたがエリックさん?」


後ろから女性の声がした。


「あ、そうです。あ~見つかってよかったです。」


そういって、後ろを振り返った。

そこには、なんだか見たことがある女子3人が立っていた。


「あ~!」

「うわ~!」

「きゃ~!」


と女子たちは声を上げた。最後の「きゃ~」はなぜ?


そこには間違いなく、昨日助けた?逃げた?女子3人組がいた。


「あなたは昨日の男子?」

「そのようですね。」

「き、奇遇ですわね。」

「そのようですね。」


とってもぎこちない会話が始まった。


「えっと、僕の名前はエリック。このグループでは男は独りなんだけど、頑張るよ。今日明日よろしく。」

「よろしく。私はシャーロット。今日はこんな姿をしていますが、この国の・・・」

「ちょっとシャーロット、何ばらそうとしているの?」

「いけない、つい!え~と、私はシャーロットよ。剣士を目指しているわ。」

「私はクリスティーナです。よろしくね。魔法騎士を目指しているわ。」

「私はカレンと言います。魔法騎士なんですけど、その中でも治療の魔法が得意です。」


昨日見た、金色ショートヘアーがシャーロット、容姿端麗で、ピンクロングのポニーテールがクリスティーナ、黒色前髪ぱっつんがカレンということが分かった。


「僕は、守護士なんだ。知らないだろうけど。」

「守護士?なにそれ?何するの?」

「まあ、攻撃よりも、みんなを守ることが役割。それより、まさか、君たちが今回の試験を受けていたなんてね。しかも一緒のグループになるなんて、なかなかの偶然だね。」

「私もびっくりよ。そもそも、私たち仲良し3人が同じグループになったのも気がかりなんだけど。裏で操作されてないよね?」


なんだか今変なことを最後に呟いていたぞ。


「僕は田舎のカジカ村ってってところから来た。君たちは?」

「へ~、カジカって、この国の端だよね。そんな遠くから来たのね。ちなみに、私はこの国のおお・・・」

「ちょっと何言っているの!あはは、私たちはこの国の街に住む商人の家の生まれです。小さいころから仲良しだったの。」

「そうなのです。決して怪しい者ではないです。」

「昨日は護衛に黙って買い物に出たら、見つかっただけなの。」

「ちょっと、クリスティーナ!ゴホンゴホン。え~っと昨日の件は、そう、そうよ、おにごっこよ。何でもないわ!それより、私たちと一緒のチームになった事を感謝しなさい!」


昨日の行動に引き続きなんだかとても怪しいが、それ以上の詮索はやめておこう。因みに、お礼をするから待っててって言ってなかったっけ?


そうこうしているうちに、先ほどの試験官がまた壇上に上がった。


「ではメンバーの自己紹介も終わったようですので、順次森に入ってください。先ほど言ったように、森では魔獣が襲い掛かってくる可能性もありますので、協力して戦ってください。

また、テントを張る場所は、渡した地図に大まかな場所を書いていますので、そこを目指して進んでください。その場所ではなくても良いですが、安全を考えるとあまりおすすめしません。

着いたらその場所でテントを張って、寝泊りをお願いします。テントを張る場合は、必ず魔獣除けを撒いてください。テントは初心者は時間がかかりますので、早めに到着したほうが良いと思います。そして・・・」


話を続けている壇上の試験官を見ていると、


「ドサッ」


と音が聞こえた。


ふと、僕の足元に5人用と思われる、折り畳みテントが置かれていた。それと、大きなリュックもあった。テントはまだ分かるが、このリュックは何?


「もちろん、運ぶのは男子のエリックの仕事よね?」


シャーロットのにっこりとした顔の奥に、上から目線の表情が見える。ここはイエスしか答えが無い。


そして耳元でシャーロットはつぶやいた。


「昨日のこと、ばらしたらタダじゃおかないからね。」


脅された。

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