第16話-11

「待ってタカちゃん。それって、私がやっていいのかな?」


「……なんだって?」


 みゆきの反論である。


 いつもなら、わかったよタカちゃんで、すぐに役になりきるみゆきだが、今日は渋い顔をして、それでいいのかと俺の提案に待ったをかけた。


 どういうことだ――。

 いったい何がひっかかるのだ。


 いや。

 みゆきが待ったをかけるのだ。


 彼女はYESウーマンに見えて芯のある女だ。でなければ、こんな面倒臭い幼馴染など放っておいて、とっとと都合の良い彼氏を作る。


 なのにそうしないのは、彼女に確固たる意志と信念があるから。


 だからこそ、待ったというからには、そう言うだけの何かがある。

 喉が鳴り、額を汗が伝った。


「どういうことなんだみゆき」


「……いやだって。TSものだよね」

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