第132話瞳の故郷遠野へその10

 意外だったのは次のことだ。その『遠野ふるさと村』で入場料を払って、実際に中に入村したら、とにかく今日子が、はしゃぎまくったのである。

「見て見て! アジサイとラベンダー? が一緒に植えられているよ!」

 とか、またとある別の場所では、

「見て見て! お馬さんがいるよ! というかここに生えている草って、お馬さんは食べても、大丈夫なんだね!」

 とか、そしてしまいにはまたある別の場所では、

「凄い! 水車が実際に動いているよ!」

 そこまで聞いた瞳が、今日子に対して、

「何? キョンキョンはさ、水車が動いているところを、実際には見たことがないのかな?」

 そう聞くと、今日子は興奮した様子で、

「うん! はじめて見る! こんな素敵なところに連れてきてくれて、どうもありがとうね。瞳ちゃん!」

 今日子にとっては、驚きの連続の体験だったのだろう……。そのやり取りを見ていた園里が、

「暑いの我慢して、今日子を連れてきた甲斐があったわね。それにしても、今日子にとっては、馬や水車が、そんなに珍しいものなのかしらね?」

 すると瞳は、

「そうだね。あんなにはしゃいでいるキョンキョンって、めったに見れないものだからね」

 そう言って瞳と園里は、顔を合わせた。

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