第11話 バレそう!?


―side乙葉―

家に来てくれた友達を、迎え入れ、自分の部屋に移動する。

「お兄さんと二人!?」

「うっかりスケベとかは!?キャー」

「えっちな事は!?」


とりあえず、春兄はいないことになっている。家の壁は分厚いし、多分大丈夫だと思う。


―side春樹― 


乙葉から、部屋の中では何しても良いって言われたので、『電車でGOfinal』をすることに。電車でGOとは、電車を運転するPCゲームのことである。


「起動よし!ATS起動よし!速度計、圧力計、電圧計よし!進路中央線!」


今回運転するのは、中央線の急行アルプス82号。183系。

やっぱりゲームでも、発車前は緊張する。


「まもなくの発車です!扉閉めま~す!」


乗降促進をして、緊張をほぐす。

やがて、車内信号が点灯して、


「閉じ目灯点灯!合図よし進行!八王子定時!」


ゲームだけど、大きい声で点呼してしまう。

「第一閉塞進行!制限65!速度63よし!」


―再びside乙葉―


「ねぇー乙葉、なんか聞こえない?」


ヤバい、勘づかれた!? 


「うんうん、なんかさっきから制限なんとか!とか。」


「そうかな?」


何しても良いって言っちゃったけど、このままじゃ気付かれる!

「私トイレ行ってくるわー。」


「「行ってらー。」」


足音が鳴らないように、春兄の部屋まで歩く。ドアを開けると――


―再びside春樹―


「閉塞詰まってきたなー、減速65!」 


トントン


ノックが聞こえた。


どうぞー、と言いたいけど、部屋中スピーカーだらけで多分聞こえないと思う。


「立川停車、9両!停目共通!種別急行!」


チラッとドアの方を見ると、乙葉が立っていた。


「乙葉ごめんな、立川停まるまでちょっと待って。」





「立川停車!2秒早着!」


「春兄!お願い!もうちょっと静かにして!バレそう!」


乙葉が叫んできた。

バレたら不味いな。

「はいはいー。」


音を小さくした。


再びドアを見ると、少女3人が立っていた。

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