引きこもりの主人公は青春したい

ゐぬゐゐぬ

プロローグ

 夕暮れの西日の中で、俺は目を覚ました。


子供達に帰宅を呼びかける音楽が鳴り響く。


夕方に目を覚まし、朝方に眠る生活を始めてから3年目の春だ。



俺は、天井を見上げた。


手を伸ばすと、黒いしみが天井いっぱいに浮かんでいるように見えた。


同級生たちの罵倒の声、嘲笑の顔、楽しそうに蹴り上げる運動靴が見えて、俺は布団を引き寄せた。


朝も起きず、学校にも行かず、勉強もしない生活にも、もう慣れ切ってしまった。


俺と世界を繋ぐものは、孤独と……

一人の幼馴染だけだった。

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