第16話 おれたちの たたかいは にせんねんまえから
「よくも私の顔に泥を塗ってくれたな!」
「誰だ、お前」
「ジョニィ!」
「まさか、お前はあのジョニィか!」
俺の元から離れていった100人いる息子の一人――
「君の意図する息子はあっちの息子だろう?私の息子を戦闘不能にしておきながら、よくも僕のことを息子と呼べるね」
「まさか、お前はあのジョニーか!」
ちょっと前にやっぱり特攻する運命だったガルマが特攻した白い土筆があいつだ。
「嫌な思い出し方だな! 一応私は君の恋敵なんだぞ?」
「つまり、お前が中ふ頭のポラメニアンの元カノ……」
「違うからな! せめて元カレだろう!」
そうか、元カレだったのか。
そりゃそうだよな。
中ふ頭のポラメニアンは男だけどヒロインなんだから。
この物語の中で一番モテるわけだし。
「元カノの恨み、はらさいでか!」
「待て! ジョニー! 中ふ頭のポラメニアンは俺をかばって――」
「問答無用だ!」
ジョニーは魔法を放つ構えを取る。
まさか、あの構えは、メテオ一族に伝わる100ある禁術の一つ――
インパクトではないか!?
「マズいわ! ジョニーの放つインパクトは激しくて感じてしまうわ! ものの見事に地球を破壊するみたいに!」
「ねえ、わたしのふりをしないでくれる?」
だが、インパクトをここで放たれれば、俺はおろか、奈々未まで巻き込まれてしまう。
「奈々未。最後に一つだけいいか?」
「なによ。最終回みたいに」
「命ってのはな。一人に一つしかねえ。だから、簡単に殺してほしいとか言うんじゃねえよ。俺はそんなことのためにコンビニでコンドームを買ってきたわけじゃねえんだ」
俺はジョニーを睨む。
インパクトを放たれる前にジョニーを倒さなければならない。
だから――
「命は大事にしろよ」
俺はジョニーに即死魔法を放つ。
俺の魔法は等価交換だ。
詳しくは鋼の錬金術師を参照しろ。
つまり、何かを手に入れるためにはその何かかそれ以上の代償が必要になる。
それは魔力として支払われる。
メテオを即死させる場合、メテオは
だが、生命を即死させる場合、生命は生命によって払われなければならない。
だから、代償は術者の生命力となる。
俺は
それも、俺の命全てを注ぎ込めるように。
そして、即死魔法が放たれた――
「即死太郎!」
俺が倒れるのと同時にジョニーも倒れる。
ようやく俺のことを名前で呼んでくれたな。
俺はそれだけで満足だった。
そして、俺は即死した。
「嘘でしょ。ねえ、どうしてアンタが死なないといけないの? 死ぬのはわたしの方でしょ? ねえ、どうして!」
「俺に聞くんじゃねえよ」
俺はむくりと立ち上がる。
「なんで生きてるの?」
俺は奈々未の目から溢れ出ている涙を人差し指で拭う。
そして、嘗めた。
「絶対嘗めるなら、わきの下の方がうまいよな。いや、もっとえっちな分泌液を飲ませてくれるんだな! よし! 脱げ!」
「バカ」
そうして俺にメテオが放たれた。
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