寄り道の先で

 「百合子、一緒に帰ろう」

教室の隅で荷物整理をしている百合子ゆりこかやは声をかけた。

教科書、ノートをバックに全部詰めてから元気よく応える。


 「うん、いいよ。そうだ! ちょっと寄り道していこうよ」

 「寄り道? 別にいいけど……」


彼女からそんなことを言われるとは思っていなかったし、

何処に行くのかまったくもって見当が付かない。


百合子は椅子から立ち上がり榧の腕を引っ張りながら、

榧はなすがままにされて、教室を出た。


-


 学校を出た二人は他愛の無い話をしながら歩き続けていた。

校門を出てからどのくらい時間が経ったのだろう。15分か20分か。


気付けば小さな雑貨屋風建物の前に来ていた。


 「プッシュキルト」


入り口横はショーケースになっていてオールドレディやアニマルの人形が飾られている。


 「アンティークショップってやつかなあ、百合子」


一人疑問を作っていた榧を尻目に百合子は店のドアを開け入る。

「いらっしゃい」と店の中から女性の声がした。


 「こんにちは」と元気よく言う百合子。

 「……こんにちは」と小さく言ったのは榧。


 そのまま二人一緒に中を進むと目の前はおもちゃだらけ。

男の子向けのヒーロー物や女の子向けの可愛い小物。

入り口前で思ってた雰囲気とは全然違い素直におもちゃ屋なんだと榧はあっけに取られた。


 「じゃあ、私いろいろ見てるから自由にしてていいよ」


そう言って店の奥へ行った友人を見ながらさてどうしたものかと考えたが、

まあ暇潰しにはいいかもと一人納得した。

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