第5話 理由

「どうして誘ったの?」

「決まってるだろ」

「……私に気があるんだ」

「バカヤロウ」

「案外、シャイなのね。それと私は野郎じゃないからね。」

「……もっともらしいことを言おうか?」

「言えたらね」

「夏希を見てたら、いっつも金魚のフンみたいに」

「フン?」

「……女王蜂に従う働きバチみたいに」

「働きバチ?」

「コチョウランもいいけど、タンポポのほうも悪くない」

「タンポポ?せめてチューリップとか言いなさいよ。」

「夏希がそういうなら、それでもいいよ」

「全く、いいかげんよね。誰でもいいみたい」

「外見にこだわらないのさ」

「カッコつけて。どうせ二股かけてたり、春香の気を引くために友達の私を口説こうとか、単なる遊びでしょ」

「あーあ。俺ってやっぱり信用ないんだ」

「そんなことないよ。それは違うよ」

「違わないさ」

「どうして?」

「それは……」

「私には言えないこと?」

「……」

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