第2話 友達


「夏希、お前、友達に嘘をつかれたことあるか?」

「あるよ」

「どんな嘘?」

「そうねえ……ピンからキリまであるけど」

「例えば?」

「学年末テストで、友達に『絶対』て言われたヤマがはずれたこととか」

「……なんだ。それはキリの方か?」

「ううん、どっちでもないかな。そういう秋雄君はどうなの?」

「俺?」

「そ。嘘をついたことは勿論、つかれたこともあるでしょ?」

「『ない』なんて言ったら嘘になるな。あるよ、ある」

「どっちが?」

「両方に決まってるだろ。……でもさ、なんで俺だけが聞かれなきゃならないの」

「だって行き先を教えてくれないもの。騙されて変な所に連れ込まれたら大変だもん」

「『変な所』?」

「私に言わせる気?」

「言わなくてもいい!」

「言い当てられたら困るから……思ったとおり」

「夏希、俺を疑っているのか?」

「当然。いくら秋雄君でも『百パーセント信じろ』て無理ね」

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