初めて

他人の初体験を「奪う」時ほど

こんなに美しく、ゾクゾクと震える事はない。

目の上が真っ白になり、大きく身体がブルッと震える快感。快感でない快感。

存在価値を見出せなくなった汚物は他人を穢す事でしか承認欲を満たせなくなっていく。

女性は殆ど誰しも親に過保護な程、大切に大切に育てられてきた筈だ。

そこに愛があるとか無いだとかは関係無い。

娘。

一切の穢れをその身に受けないようにと守られて育つ。

その綺麗な身体にキスをして、僕の穢れを他人へ移してゆく。

「悪いけど、お二人が必死に守ってきた彼女の貞操は僕が奪ってしまいます。地位も名誉も力も関係ない。ここでは僕の絶対王政なのだから。」

一種の反骨心であろうか。

中学生が「特攻の拓」を読み不良に憧れる様に。

僕も穢れなき精神と肉体に憧れ、汚してしまいたいと思うのだ。

男が相手の肌に接吻痕を残す時の気持ちが少し理解できる気がする。

接吻痕は首輪のよう。

どこにも逃げないように。

所有欲求。

奴隷を拘束するかの様に

「家族」という社会から奪ってしまった印。

もっと穢してしまいたい。

その細い首筋に赤黒く僕の手形を残してしまいたい。

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