僕たち理系同好会
荒井祐一
第1話新入生歓迎のビラ配りの洗礼
「どの部活や、もしくはどのサークルに入ろうかなあ?」
文系学部だけで構成される『私立椎乃川大学』に入学した成瀬美和子は、新入生の事前説明会と、その後に行なわれた部活動とサークルの説明が一通り終わった後に、どの大学でも行なわれる恒例の『部活・サークル勧誘』のビラ配りの洗礼を受けて、内心ウキウキそしてワクワクしていた。
これから『大学生活』という新しい生活のはじまり。
美和子と高校のときの同級生で、美和子の親友の川部愛美とは、二人ともいわゆる『指定校推薦』によって、この私立椎乃川大学に入学した。
美和子は高校時代は小説家を目指すため、ひたすら小説を読み漁っていた高校生活だった。そんな状態であったから、受験に関する肝心の偏差値は、国語以外は下がることはあっても上がることはなかったが、高校での授業に対する勤勉な態度などが認められて、見事にこの私立椎乃川大学の、希望通りの文学部の指定校推薦をもらうことが出来て、入学した美和子だった。
愛美は愛美で、四年間のモラトリアムの時間が欲しくて、大学進学を希望していたようなもので、たまたま美和子と同じ大学と学部の指定校推薦をもらって私立椎乃川大学に入学したと言っても、過言ではない。
どこの大学もそういうものだと、後に美和子は高校のときの愛美とは別の、同級生から聞かされていたのだけれども、大学のオリエンテーションが終わると、こういった部活やサークルの歓迎や勧誘が待ち受けていて、新入生は持ち帰れないほどの新入生勧誘のビラを、渡されるものだという。
美和子もその例に漏れず、いろんな部活やサークルのビラを半強制的に渡されて、手にはビラで抱え込んでいる状態だった。
同級生として同じ大学の、同じ学部学科に進んだ高校時代からの友人である愛美の手にも、もう持ちきれないほどの勧誘のビラを抱えていた。
美和子と愛美は無事に新入生の歓迎が終わった後で、大学の近くのカフェにて、貰ったビラたちを熟読していた。
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