神能件6【備忘録の前書き付き】

【備忘録】

SS気味に書くので今日から台詞の先頭に名前を書く


幼馴染「俺君~狼女さ~ん、朝だよ~」


俺「大丈夫?」

狼女「着た」

俺「……まあいいか」


俺「おはよー」

幼馴染「おはよ!昨日からあまり食べてないし、お腹すいてるよね」

俺「……まあ、そうだね(食欲が無いって言えないな)」

幼馴染「だよねだよね……狼女さんは食べれないの分かってるけど、祈りにはちゃんと来てもらわないと」


狼女「祈ったさ、オマエ達よりもずっと高い場所で、神に届くよう」

幼馴染「皆で祈るから聞きやすくなるのに……とにかく、絶対来るんだからね」


狼女「分かった分かった」

幼馴染「分かってないから、朝は俺君と連れていくからね」

狼女「ああ、アレ記憶がないのか……分かった、なら行く、ついでに教える」


幼馴染「そうそ……えっ」

狼女「知ってるぞ。こいつここに帰ってから、私の顔見るなり変な顔してるし、何も覚えてないし、うるさいから教えてやる」


幼馴染「……俺君」

俺「はい」

幼馴染「狼女さんといつの間に仲良くなったの?」

俺「いや、仲が良いと言うのか?俺の事代名詞で呼んでるけど」

幼馴染「狼女さん、見ててわかる通り一人大好きだから……教えるとか珍しくて」


俺(あの森の奥の態度は強がりでもないし、嘘でもないらしいしな。

俺に話し掛ける理由はまあ……警戒だろうけど)

狼女「ということでだ。食堂や祈りの案内は私がやる」

幼馴染「良いけど……狼女さん、祈り覚えてる?」

狼女「オマエ達と離れたのは自分でも出来るから離れるのだ」


幼馴染「うーん……まあいっか」

俺「良いのか…」

幼馴染「だって狼女さんが人と話してること見たことないし、しかも同室の俺君にだし……これはこれで面白そうかも」

俺「……前の俺なんなの」


狼女「それはオマエとは違って生意気で強がりだったぞ。まあいいや、そういうことで幼馴染、私はやるぞ」

幼馴染「……えっと、困ったらいつでも言っていいんだからね」

狼女「大丈夫だ、それに私みたいになっても、一人で生きていけるようになれば万々歳だ。オマエも気を付けた方がいい」


幼馴染「……狼女さんこんなに喋ってるの初めてだし、逆に新鮮でいいかも」

俺「……俺は別に何でもいいけど」

狼女「駄目だ、オマエ、こっち来い」

俺(魔物みたいなこと言ってる……)


幼馴染「なんか面白そうだし、後で感想聞かせてね!」

俺「ごめん、折角来たのに」

幼馴染「好きで呼んでるだけだからさ、全然気にしないで……あと狼女さんと話したかったし」

俺(なんか……なんだろうな……悪意はないだろうし、幼馴染すげえ優しいと思うんだけど……もう少し訳ないと思うけど)


俺「……まあ、俺も早く学園に慣れたいしさ、もっと知りたい時は呼んでいい?」

幼馴染「全然良いよ!というか何でも言っていいけど……ああでも体は第一だからね!無理しないでゆっくり知っておけばいいから!」


幼馴染はその後元気にそこを立ち去った。狼女からあの態度を取られても、ケロッとしているのは俺は見習いたいが……狼女の視線を感じる。


俺「……何か、したかな」

狼女「別に。ただ必要最低限のことは教える。オマエによって私が行動出来なくなるのは御免だ」

俺「俺的に、ああいう態度はいつかそうなると思うけど」

狼女「この態度は、人としての不愉快を与えるだけだ」

俺「……それだけで済むと思っているのか?」


狼女「ああ、それは証明した」


(そうして狼女は一つ何かを手に取った。あの昨日のフライの残りを入れた容器だ)


狼女「私のお陰で命拾いしたな。子らと食った」

俺「命拾い?」

狼女「この肉、どういう役割で作られているか知っているか?まあ知っているから食いかけだろう」


俺「……御供体。悪人を殺して、その肉をすり潰して、神へ召したそれを食べる」

狼女「そう。悪人とは、神の教えに背いた者だ。神の声を聞く耳持たず、神の血肉であろう食物を味わう舌を持たず、神の導を探る目も持たなければ、神の血の匂いを知り省みる鼻を持たない。だがこれらは、神の知を阻害する魔の物によるものだ。削ぎ落とし、近付けることで人としての幸福を成す」

俺「何故感覚がないんだ」

狼女「手足を切り落とせば食べ処が少ないだろう。知ったことではないが」


狼女「オマエは、あの時みたいに勘はいい。

考え、自由だ。強制はしない。だが自由は、常に選択の義務が付きまとう。選択しない自由は、ここにはないと思え。

でなければ……今度こそオマエは死ぬ」


俺(恐らく、忠告しているのだろう)

俺(この子は、恐らくこの学園や、多分この世界の状態全体をよく思っていない。それを言い出せない中で、似た感情を持ってる俺に忠告している……そりゃ、あの肉ゲロってしまったし)

俺(俺は、過去の持ち主が何をしていたかは分からない。狼女もそれを知っているはずだが、わざわざこの子は昔の俺を教えている。まるで二度と失敗しないように)

俺(俺だって、今の現状を教えるつもりは無い。言っても信じられないからだ)


俺「……俺は、君と同じ後者だけど、頼りきりにするつもりは無いよ。俺は何も覚えていないから、君に迷惑がかかる」

俺「俺のことは俺一人でやる。だから今日だけは、最低限のことだけ教えて欲しい」

狼女「分かった。どうせ一日で覚えなくても、奴らは親切心で覚えてくれるだろうが、保証はしない」

俺「分かってる」


狼女「あと、御供体は食わないか食べるかのどちらだ。捨てたらオマエもああなる」

俺「……分かった」

狼女「朝食は、訓戒とその御供体と同化を行う。宣言は必ず一字一句合わせろ、祈りの手は決して逆にするな」

俺「分かってる」


狼女「決して口に入れたものを戻すな。隣にいる奴のペースを合わせろ。今日は私に合わせろ、何の肉か味を知る前に飲み込め。決して嫌な顔をするな。微笑め。そして静かに食え」

俺「……」

狼女「これが私達の責務だ、私達の義務だ。己が平穏であるためには、他の平穏を乱すな、良いな?」


昨夜のように胃が逆流仕掛けたが、それを何とかこらえた。




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