第10話
「ただいまぁー。」
『あんた勝手に…って何なのよソレ!!』
俺の姿を見た母さんが目をまん丸くして唖然としている。
「これは…アイツが悪いんだよ!!俺は何にも悪くない!!」
『アイツ??そんなのどうでもいいから早く着替えなさい!!あ、服も全部荷物にまとめちゃってたっけ。…乾くまで外にいなさい。』
「…はいよぉ。」
その日の夕方。荷物も無事に届きダンボールを各部屋に振り分ける重労働を終えると、『アンタ風呂!入っちゃいなさい。』そう言われて西陽が差し込む洗面所で塩の結晶がラメのように付着した服を脱ぎ捨てていた。
服の隙間に残った砂がパラパラと音を立てて床に落ちる。
やべっ…コレ母さんに怒られるわ…
床に落ちた砂を横目にズボンを脱ぎ捨てた時だった。"コンッ"という音でペンダントの存在を思い出す。
持って帰って来ちゃったっけ…
ポケットの中から薄汚れたペンダントをつまみ出すとそのまま浴室へ持ち込んだ。
狭っ…てか銀色の浴槽とか初めて見たんだけど…
古い造りの浴室に視線を配りつつ、ジョロみたいな水勢のシャワーを浴び、薬のカプセルみたいに綺麗な白と赤のコントラストに日焼けした腕や身体を洗い流した。
そしてペンダントを手にとり、俺がつい昨日まで使っていた筈の…掃除用ブラシに役替わりした歯ブラシを使って丁寧に汚れを落としていく。
すげー…めっちゃキレイじゃん。
それはまるでダイヤモンドのようにキラキラとした輝きを放っていた。
風呂から上がると、荷物で散乱したキッチンに置かれたテーブルの上にスーパーの寿司が用意されていた。
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