壱ノ不思議 廊下の怪(38p)

 雪絵お姉さんは自分が飲んでいるカルピスの入ったグラスを片手に持ってカラカラと氷の音を立てる。

 その音が、実に涼し気だ。

「有り難う御座います。歯を磨いちゃったから麦茶が良いかな」

 雪絵お姉さんは「了解」と言って、冷蔵庫を開けて、麦茶の入ったボトルを出し、グラスに注いだ。

 氷も三つ入れてくれた。

「頂きます。うわっ! 冷たい! 風呂上がりの麦茶は生き返るわー」

「ははっ! 何言ってるの。元々生きてるじゃない」

 雪絵お姉さんは私に突っ込みを入れると自分もカルピスを飲み干し、そして空になったグラスを見ながら「うん、確かに生き返るわね」と、首を横に二度動かしながらしみじみとした様に言った。

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