第32回ファンタジア大賞

個人的おすすめ作品ベスト3


1位 スパイ教室

2位 嘘嘘嘘、でも愛してる

3位 世界一かんたんなヒロインの攻略しかた


 1位の「スパイ教室」はスパイとして落ちこぼれの少女たちが不可能任務というほかのスパイが一度失敗した任務に挑戦しなければならなくなった物語。彼女たちを率いるのはスパイとして凄腕だが物事を教えるのが致命的にへたくそな主人公。このままでは不可能任務を達成できなくなると思った主人公は彼女たちに自分をスパイとして襲わせて育てようとする。読んでいくうちにある違和感を抱く読者もいると思うのですが、その違和感の正体は最後の戦いでわかることでしょう。ラノベのようにポップな雰囲気なのにミステリーでもありバトルでもある贅沢な一作です!


 2位の「嘘嘘嘘、でも愛してる」は車にはねられて記憶喪失になった主人公が三人の女の子とイチャイチャする物語なのですが、戻った一部の記憶によると主人公が車にはねられたのはその女の子の中の三人の誰かが原因だという。三人とも何らかの嘘をついていることは間違いない。その嘘も次第に判明しつつ、主人公を殺そうとした女の子は誰なのかというミステリーのようなラブコメ。これだけ書くとミステリー成分が多そうですが、読んでみたらラブコメ成分もたっぷりです。下手したら謎なんて放っておいてかわいいヒロインたちとのラブコメを楽しんでいるかも?


 3位の「世界一かんたんなヒロインの攻略しかた」は主人公がヒロインと階段でぶつかったことにより、ヒロインの霊体(?)にとりつかれるお話。とりつかれると言ってもヒロインは特に変わった様子はなし。ヒロインの霊体をもとに戻すにはヒロインと接触しなければならないということで、ヒロインの霊体がアドバイザーとなってヒロインを攻略していくというわけのわからない状況になる。ヒロインの霊体でも予測不可能なヒロインの本体の行動など、全体的にコミカルに書かれていて面白かったです。




その他の作品の感想


「ようこそ最強のはたらかない魔王軍へ! 〜闇堕ちさせた姫騎士に魔王軍が掌握されました〜」:TRPG大好きな魔王が自ら魔王軍に引き込んだ姫騎士に軍を掌握される物語。最初は魔王がかわいそうになるほど不憫。でもそんな中でも頑張る魔王を応援しながら読んでいました。


「大罪烙印の魔剣使い 〜歴史の闇に葬られた【最強】は、未来にてその名を轟かせる〜」:戦争の中で生きていた主人公が平和な100年後の世界に飛ばされる物語。100年後の世界では主人公は英雄から大悪人になっており、それがもとでいろいろ利用されたりします。まあ、なんだかんで楽しそうでしたけどね。




総評

 今回は大賞が出たこともそうですが、金賞が三つあることも特徴。それぞれ選考委員の名前を持つ賞をもらっています。それだけにどれもレベルが高かった。選考委員の意見が分かれたのも納得です。

 ジャンルとしてはラブコメとファンタジーの比率が半々くらい。バランスがいいと言えばいいのかな? スパイ教室のジャンルは何なのか迷うところですけど。その中でも個人的に上位に挙がったのはミステリー要素をうまく使った作品だと思います。やっぱり謎が魅力的だと物語を引き付ける力が出てくるのだと思うのですよ。

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