個人的おすすめ作品ベスト３

１位　ロクでなし魔術講師と禁忌教典

２位　オー･ドロボー!

３位　女装王子の深遠にして優雅なたくらみ

　１位の「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」はアニメ化、コミカライズもされている作品なので知っている方も多いでしょう。やる気のない主人公が魔術学院の非常勤講師として奮闘するお話です。生徒のヒロインたちと交流を深めながら、次第にやる気を出して授業に身を入れる様子はなかなか面白かったです。それだけではなく、しっかりと悪役とのバトルもあり、多くの人が楽しめるストーリーだと思いました。さすが大賞ですね！

　２位の「オー･ドロボー!」はフィクション、ノンフィクションの垣根を越えて様々な泥棒たちの子孫が世界一の泥棒を決める世界大会に出場する話です。日本の代表は石川五右衛門。ヒロインはルパンです。他にも名前を聞けば知っている泥棒たちが数多く出演。シャーロック・ホームズの子孫も登場するなど、名探偵サイドも出てきます。ミステリー小説ではありませんが、ミステリー小説が好きな人にはぜひおススメしたい一品ですね。

　３位の「女装王子の深遠にして優雅なたくらみ」はファンタジア大賞で受賞し、富士見L文庫から出版された珍しい（？）作品です。あとがきを読みますと、ファンタジア文庫と富士見L文庫のどちらでも出版可能だったらしいのですが、ファンタジア文庫で出版するのならとあるキャラの性別を変えた方がいいと言われ、そのキャラの性別を守るために富士見L文庫で出版したそうです。

　内容としてはタイトルの通り、女装した王子が国を挙げた花婿選びを行い、その裏で行われていた事件を解決するというものです。なかなか新鮮な気持ちで読めた一作です。皆さんも是非！

その他の作品の感想

「女の子に夢を見てはいけません!」：姉と妹のせいで女の子が苦手になってしまった主人公が、ヒロインに振り回されながらラブコメしていくお話です。私から見れば、うらやましい境遇なんですけどねぇ。

「死線世界の追放者」：かつて世界を恐怖に陥れた悪役の四天王の一人が主人公という少々変わったラノベ。それでもヒロインを守ろうとする姿はまさに主人公でした。

「今すぐ辞めたいアルスマギカ」：幼少のころ魔法少女になってしまった主人公は現在ではもう高校生。もうさすがに魔法少女という年ではないので今すぐ辞めたい！　しかし、後継者が現われるまで辞めることはできない。そんな少女の奮闘記です。

「100万回死んでも少女は死体回収屋の苦労を知らない」：冒険者ならダンジョンで死んでも聖なる泉に突き落とせば生き返る世界で、その死んだ冒険者を回収する回収屋が主人公のお話です。ヒロインの女の子がとにかく無鉄砲で死にまくります。それでも毎回回収する主人公、さすがです。

総評

　この第26回ファンタジア大賞と特徴としてはまず受賞作の中から富士見Lレーベルの作品が出ていることがあげられるでしょう。今でもファンタジア文庫と富士見Lレーベルを選択できるかはわかりませんが、富士見Lレーベルのほうが適切だと判断されればそちらでの出版の可能性があるということだと思います。そういう意味では選択肢は広いのかもしれません。

　ほかの受賞作を見てみますと、やはり知名度では「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」が群を抜いていますね。アニメ化、コミカライズもされているので当然と言えますが、やはり面白かったです。王道とも言えるかもしれませんが、その王道を面白く書けるのはやはり才能があるからなのでしょう。

　傾向といたしましては、やはりジャンルは幅広くとっています。特に今回は富士見Lレーベルの女性向けの作品も受賞しているので、その幅広さは今までとは一味違いますね。さすが老舗だけあって、懐が広い！