レベル253 『モンスターカード!』で、ゲットしてみたら精霊王になりました。

 骸骨が作った未知の素材か……大丈夫かな?

 そう思いながらもカードをかざす。

 しかしなにも反応しません。


「あれ?」『モンスターカード!』


 何度も試してみるがカードはチラリとも光る様子が無い。

 全ての鉱石がゲットできるという訳でもないのか?

 なにか条件でもあるのだろうか。


「私の方でも駄目ですね」

「おいラピス、どっかメタル余ってないか? ゲットできるか試してみたい」

「そうですね……メタルは品不足でここらじゃ売っていませんが、ミスリル、なら売っているでしょう」


 そう言って、メタルと同じこの世界にしか存在しない謎鉱石、ミスリルの原石を調達してくる。


『鉱石M』

 ☆5・レベル1


 そちらは普通にゲット出来た。

 しかしこれ、名前がメタルと同じじゃねえか!

 おい、手ぇ抜いてんじゃねえぞ。


 レアリティが違うのでそれで判断は出来るけどさ。


 絵柄もまったく同じ、ただしメタルは銀色、ミスリスは白銀となっている。

 オリハルコンになるとゴールドになるのだろうか?

 さすがにオリハルコンはMじゃないだろうけど。


 そういや前世のゲームでは、よく色違いの武器やら装備、素材が一杯でてたよなあ。

 開発する方としては楽なんだろう。

 しかしガッカリ感は否めない。


「複数所持していると、どれがどれやら分からなくなりそうですね」


 ついでなんで解放の方も試してみますか。とラピスが言ってくる。

 今はノーマルカードなら幾らでもある。

 解放してまたゲットして、なんてことも余裕である。


 と、思っていたのですがぁ……


「一度解放されたものは再ゲット出来ず、ですか」

「う~ん、これは解放についてはよく考えないと駄目だね」

『……解放なんてありえない。私はずっと一緒に居る!』


 ラピスがカードから解放したミスリル鉱石、再ゲットしようとしたところ、カードは光るのだが、カードの方が先に消えてミスリル鉱石はゲットできなかった。


「まあ、そうそう都合のいい話ばかりじゃないって事っすね。それよりコレ、どうするんすか?」


 ダンディが作った精霊石を指差しながら問いかけてくるティニー。

 どうしたものか。

 メタル、ミスリルはゲット出来た。


 しかしこのダンディが作ったという精霊石はカードが反応しない。

 そこらの石ころでも、もちらん反応しない。

 ダンジョン産の鉱石でなければゲット出来ないのかもしれない。


「ふうむ、精霊が自由に扱えるようになれば、我輩の天下となろう。と言っておったのじゃがな」

「じゃあ、扱えない方がいいな」


 よし、見なかった事にしよう。

 ゲットできないなら使い道も無い。

 魔力がなければ唯の石。


 いや待てよ……魔力のないものに魔力を灯らせる。ない事もないか……


「またなんか裏技でも思いついたのですか?」

「裏技って……いや、アポロの聖痕が、この石に刻まれたらどうなるかな、と思っただけだ」

「ほんと裏技を考えるのは得意だねキミ!」


 裏技王の称号をあげよう、なんて言ってくるカシュア。そんなものはいらねえ!


『…………私?』


 ああ、アポロは聖痕。

 聖痕を身に付ければ、魔力がない人間でも魔法が使えるようになる。

 そしてそれはまた、人では無い、無機物でも可能なんじゃなかろうか。


『…………やってみる?』


 一度アポロをカードに戻す。

 その後、精霊石に向かってアポロのカードを掲げる。

 その瞬間だった!


 突如アポロのカードと精霊石が輝き始める。


 その輝きは二つの光となり、空中で螺旋を描きながら上昇する。

 最後に花火の様に飛び散ったかと思うと、一枚のカードがゆっくりと回りながら降りてくる。

 オレはソレをそっと受け止める。


『精霊聖痕・アポロ』

 ☆9・レベル27

 スキル:精霊王+

 備考:物理攻撃無効、魔法攻撃無効


 なにやら名前が変わっている。

 魔法王が精霊王に、備考欄には魔法攻撃無効までついている。

 これもう、アポロ単体だと無敵じゃね?


「これは……アイテムによるクラスアップ、でしょうか?」

「なるほど、そうきたか」

「とりあえずアポロを呼び出したらいいと思うッス」


『出でよ! 精霊聖痕・アポロ!』


 それもそうだな、と思ってアポロを呼び出してみたのだが。


『あれ? あれれ……?』


 なにやら慌てているアポロ。

 どうかしたのか?


『魔法が使えなくなって……る』


 えっ!?

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