レベル246 ☆

 ただ、それでも創造神よりはマシかもしれない。


 こっちはレベル1になる。

 レベル差で主導権が左右されるとすれば、完全にラピスの支配下におかれてしまう訳だ。

 何やらされるか分かったもんじゃない。


「別に何もしやしませんよ。それともアレですか? 私と子作りせよ、とでも命令したほうがいいですか」

「ちょっとぉ! 今それシャレになんないから! エクサリーの目が般若になるから!」

「般若になんてならない」


 えっ、ホントに?

 じゃあ子作りしてもいいの?

 うぉっ、コワッ! 冗談! 冗談ですってば!


 まあそれ以外でも、ロゥリやカシュアになんかされたら死にかねない。


 このパラメーターじゃレベルを上げるのも大変そうだし。

 邪神がついたからといって闇落ちするとも限らない。

 いざとなりゃ圧倒的なパラメーターと、カードモンスター特効で力ずくで抑え込む事だって可能じゃなかろうか。


 そう思い邪神のカードに手を伸ばす。

 しかし、オレの手はそのカードをすり抜けた。

 あっ、もしかしてコレ、所有者しか選択出来ないんじゃ?


 そして今の所有者は……


「ニタリ」


 その言葉通りの顔をしたラピスが手を伸ばす。

 オレの手が突き抜けているのとは別のカードに向かって。


「せっかくだから、俺はこの赤のカードを選ぶゼ!」


 そう言いながら創造神のカードを手にするラピス。

 何がせっかくなのか分からない上に、そのカードは赤くないぞ!

 このネタ分かる人どんぐらいいるのかなあ。


「ふっふっふ、コレで私よりレベルの低くなったお坊ちゃまは、思うままに……」


 そう言って、悪い顔をしながらカードを覗きこんだラピスの行動が一瞬止まる。

 アレ? とか言って、目をこすりながらカードを見たり、空に透かしてみたりしている。

 いったい、どうしたんだってばよ?


「いえ、それがですね……カードのレベルが……」


『創造神・クイーズ』

 ☆1・レベル626

 スキル:モンスターカード創造

 備考:天敵・カードモンスター


 レベル626ぅうう!?

 どうなってるのコレ?

 バグッてんじゃ……


「もしかしてコレですかね」


 そう言ってラピスがモンスターカードを並べる。


『スーパースター・ラピス』

 ☆12・レベル50

 スキル:超繁殖→聖母、カード統率・極、命名(使用不可)、テンカウント

 備考:モンスターカード+2、モンスターCカード+1


ロゥリ・竜型スタイル

『天竜王・ロゥリ』

 ☆13・レベル43

 スキル:ホワイトブレス、天の岩戸

 備考:クイーズ特効


ロゥリ・人型スタイル

『神竜騎士・ロゥリ』

 ☆12・レベル43

 スキル:擬態+、万有引力・神

 備考:竜種特効、モンスターカード+2、モンスターCカード+1、メテオブレイカー


『メタルスライム・スラミィ』所持者・アスカ

 ☆2・レベル36

 スキル:擬態・極

 備考:モンスターカード+1


『聖王ホーリークラウン・カシュア』

 ☆7・レベル47

 スキル:未来予見・極、聖王

 備考:天敵・オーク、アンデッド特効、モンスターカード+2、モンスターCカード+1、ホーリーノヴァ


『マンドラゴラ・ギター』

 ☆7・レベル30

 スキル:オート演奏、擬態

 備考:モンスターカード+1、音の世界


『骸骨王・ダンディ』2枚使用

 ☆8・レベル13

 スキル:天啓(使用不可)


『お料理セット』所持者・エクサリー

 ☆4・レベル30

 スキル:オート料理、料理人召喚

 備考:モンスターカード+1


『鉱石M』

 ☆1・レベル42

 スキル:素材変化・変形、素材吸収・破棄

 備考:モンスターカード+2、モンスターCカード+1


『グランドピアノ・セレナーデ』所持者・カユサル

 ☆9・レベル33

 スキル:擬態+、英雄の旋律

 備考:一子出産、モンスターカード+1


『ソーサー』所持者・カユサル

 ☆1・レベル2


『グリフォン・アイリスブラッド・カイザー』所持者・エルメラダス

 ☆8・レベル31

 スキル:龍風圧無効、超加速、擬態+

 備考:獣種特効、モンスターカード+1


『竜王・ニース』

 ☆10・レベル7

 スキル:聖剣の担い手、竜化、輪廻転生(使用不可)

 備考:全属性特効(小)


『ウィンディーネ亜種・アクア』所持者・サヤラ

 ☆7・レベル37

 スキル:混合魔法、科学知識

 備考:水系統倍化、火系統倍化、モンスターカード+1


『ライオンハート・ハーモア』

 ☆5・レベル29

 スキル:獣人化

 備考:モンスターカード+1


『ダークエルフ・サウ』

 ☆2・レベル26

 スキル:幻惑+

 備考:モンスターカード+1


『エルフ・レリン』

 ☆2・レベル27

 スキル:器用貧乏

 備考:モンスターカード+1


『パワードスーツ』

 ☆6・レベル38

 スキル:全パラメーター+

 備考:モンスターカード+1、魔法無効(エリア・調整可能)、リミットブレイク


『スカウター』所持者・ラピス

 ☆9・レベル1

 スキル:叡智


『ミュージックプレイヤー』所持者・カシュア

 ☆11・レベル1

 スキル:聴覚探知・極、鷹の目


『エンゲージリング』所持者・エクサリー

 ☆10・レベル13

 スキル:精霊化


『烏天狗・ムハク』

 ☆5・レベル16

 スキル:変化、風魔法


『ニンフ・アイリスブラッド・リーフ』

 ☆6・レベル8

 スキル:誘惑


『ビックフット・アイリスブラッド・レーサー』

 ☆7・レベル20

 スキル:脚力増強、危機察知


『シンセサイザー』

 ☆8・レベル13

 スキル:奏者


『聖痕・アポロ』

 ☆9・レベル13

 スキル:魔法王

 備考:物理攻撃無効


『リライフ』

 ☆1・レベル1


『フルドラムシンセ』

 ☆8・レベル8

 スキル:ミキシング、アンプリファイアー、サウンドウェーブ


『空母クイーン・ウィルマ』

 ☆10・レベル2

 スキル:水生成


『魔王サキュバス・フフ』

 ☆10・レベル5

 スキル:夢狩


ティニー・銃型スタイル

『聖銃・ティニー』

 ☆11・レベル4

 スキル:モデルチェンジ(3)、リロード

 備考:アンデッド特効、人型特効


ティニー・人型スタイル

『レディガンナー・ティニー』

 ☆4・レベル4

 スキル:必中、弾丸練成


 カードの合計レベル、それは626。そう、ちょうど創造神のカードと同じレベルだ。

 なるほど、コレか。

 カードにしている総モンスターの合計レベル、それがオレのレベルになる訳だ。


 そして☆1と言えどもさすがに626レベル、大量のボーナスポイントがある。


 オレはひたすらそれをパラメータゲージに振る。

 それで、なんとか放浪者だった頃の7割ぐらいまでには回復した。

 626レベル分あって1割ぐらいしか増えてないや。


 マジ伸びねえ。この創造神、成長しなさすぎだろ。


「とりあえずモンスターカード創造、それを使ってみてはどうですか」


 そうだな。


『モンスターカード創造!』


 と、そう叫んで差し出した手からパラパラパラとカードが落ちて行く。

 その数ざっと626枚。

 どうやら、1レベルに付き1枚増やす事ができるらしい。


 つ~かとんでもない数だな! これならモンスターをゲットし放題!


「しかも、コレ、無限増殖できますよね?」


 モンスターをゲットすれば最低1レベル。

 即ち1枚はカードが増える。

 それにラピスがゲットした場合は最初からレベルが高い。


 20レベルのモンスターをゲットすれば、一気に20枚増える訳だ。


 もうコレで、カードに困る事はありえない!


「いっその事、このカードを売り出しますか?」

「カード関係のスキルが無くてもゲットできるのか?」

「わらわが、試してきてやろうじゃないかっ!」


 そう言うので、オレはローゼマリアにカードを譲渡してみた。

 さっそくソレを持って外に出て行く。

 暫くして帰ってきたローゼマリアは、ワイバーンゾンビと書かれたカードを手にもっていた。


「お前、あんだけ嫌われていたのによくゲット出来たな」

「あ奴はわらわの眷属じゃからなっ! それに最近は心を入れ替えて面倒みておったのじゃっ」

「ほんとかよ?」


 このカードを世界にばら撒き、カードが増えれば増えるほど、お坊ちゃまの力が増す。そうブツブツ呟いているラピス。

 お前、この世界をモンスターカードがありふれた世界に作りかえる気か?


「然り然り、この世界は、そうやって何度も作りかえられてきたものである」


 ダンディがしたり顔でそう言ってくる。

 本気かお前等?

 こんなものが世に溢れたら、何もかもが壊れてしまわないか。


「魔法が生まれたときもそうであった。我輩の知識もまた世界に大きな変動をもたらせた」


 魔法が生まれたとき、それを持つ者と持たぬ者で大きな争いが起こった。

 それは最終的に世界規模の争いとなり、聖皇国一強だった時代から群雄割拠の時代へ変貌した。

 さらにダンディがもたらした技術により、南の諸侯は力をつけ、聖皇国からの完全な独立を果たし、互角に対立できるようにもなっていったそうだ。


「南北の対立はお前が噛んでいたのか?」

「だってしょっちゅうちょっかい出してくるのよ? 目障りだから味方同士で争ってもらった訳よ」


 テヘペロみたいな感じで言うダンディ。

 おまっ、ソレばれたらテヘペロじゃすまねえぞ。

 ほんとに大丈夫か? このカード普及させて。


 ダンディみたいなのが大量に沸いて出たら困るぞ。


「さすがにダンディがみたいなのは、そんなにいないかと。あと、お坊ちゃま以外がゲットされても唯、単にカード化されるだけですから」

「ふむ……そうだな、まずは身近な人に試してもらってからにしようか」

「あっ、じゃあ私、こんぐらい貰ってもいい?」


 アスカさんが、さっそくカードを束で持って行こうとする。

 スライム王国でも作る気ですか?


「ふむ、それでは俺も貰っておこう」

「あっ、私も下さい! お店に居るカギュウ達をゲットしてみたいです!」

「師匠、俺も貰っていいですか? あのクソ親父をゲットしてやる」


 ペンテグラムにサヤラ、さらにムハクまでもそう言ってくる。

 エクサリーさんも要ります?

 えっ、ホウオウちゃんが居るからいい?


 そう言わず、万が一の為に持っといてください。山ほどあるんですから。


 そうやって皆に使ってもらう事にしたのだが、一つだけ問題が発生した。

 どうやらカードのモンスター達はオレとラピスを除いてゲットが出来ない模様。

 まあそりゃそうだよね。


 カードのモンスターがさらにカードのモンスターをゲットとか普通はありえないよね。


「それにしてもラピス、なんで創造神にしたんだ。今後の事を考えれば邪神の方が良かっただろう」


 なにせオレ達が向かうのは高レベルのモンスターが居る場所だ。

 創造神のパラメーターじゃ足を引っ張る事、請け合い。


「モンスタカード創造、なんてものがありましたからね」


 とりあえず大量に作って、その後、クリスタルカードが出来たらクラスチェンジすれば良いと考えていたらしい。

 いざとなればロゥリの天の岩戸で、安全が確保されるまで閉じこもってもらっても良かったとか。


「天の岩戸使うなら、オレをカードにする必要はなかったんじゃね? おい、視線を逸らすなよ、ちゃんと目をみて話そうじゃないか」

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