レベル144 『モンスターカード!』で、ゲットしてみたらライブ会場になりました。
翌日、目が覚めると、なにやら外が騒がしい。
昨夜は、エクサリーが子供達に連れて行かれたので、一人で深夜までお菓子作りでござった。
なので、結構遅くまで寝ていたのだが……
「どうした、何かあったのか?」
えっ、子供達が近所に、お菓子を配り歩いたの!
なんで?
どうやら自分達だけじゃ勿体無いので、近所の良くしてくれた人達に、自分達の分を減らしてまで配ったそうな。
で、見たことも無い貴重なお菓子を貰った事に感動した人達は、せめてものお礼と、子供達が踊りを披露すると言ってたオレ達のバンドを見に来てくれたそうだ。
ちゃっかり宣伝もしてくれていた模様。
これはまたボーナスを出さなくちゃな!
「カシュア、こいつを持って行け、食材をたんまりと頼む!」
カシュアに結構な大金を手渡す。
「任せてくれたまえ!」
「ただし買占めはするなよ。量はさほどでなくていい、いろんな種類があったほうがいいだろう。あと、売れてない食材にも意外な使い道があるからそっち中心にしてもいいな」
「分かったよ!」
おかげさまで、本日一回目のバンドは大盛況!
珍しいお菓子に、珍しい歌を聞けてって、ご近所さんは大層子供たちに感謝しておられる。
そこへ、買出しが終わったカシュアが戻ってきたので、その場で様々な料理を披露して振舞うことにした。
「いいのクイーズちゃん? 結構な出費じゃない」
ユーオリ様が心配そうな顔でそう言ってくる。
いいんすよ! だって本日はお祭り! こういうとこでお金を使わずにいつ使うんですか!
それに、
「人の労力はお金があればいつでも買える。でも人の絆は、こういった場面でしか買うことは出来ないんですよ」
「……クイーズちゃんは、どっかの宗教に入ってたの?」
自分! 無心論者です!
でも、クリスマスも祝うし、お正月も祝います!
辛いときには神にだって祈ります! 祈る先は全部です!
「お坊ちゃまは節操無しですから。女の子だってこんなに侍らせて」
おまっ! なんて事言うんだよ!
オレは、いつだってエクサリーさん一筋っすよ?
「疑問形になっていますよ?」
とまあ、その後もオレが振舞った料理で人々が集ってくる。
どうやら、教会で炊き出しをしていると勘違いされた模様。
「クイーズちゃんの旗でも立てておく?」
貴族はそうやって人気取りするそうな。
こんな所で旗立てて、こっちの貴族とイザコザになったらイヤだから止めておきます。
「えっ、この甘いお菓子の正体がこれなんかい!? これ苦くて食べれたものじゃないんだが」
「苦いからこそ甘みが引き立てられるんですよ!」
「うん、やっぱり君のお料理セットは最高だね! この素材、凄く売れ残っていたので大量に買って来て置いたよ!」
そいつはナイスだな。
このお菓子なら、子供から大人まで幅広くおいしく食べてもらえるはずだ。
そして夜の二回目のバンドになると、教会の広場には入りきらない程の人が集って来ていた。
午前の部での、ご近所さんが触れ回ってくれた模様。
ちらほらと夜店のテントまで見える。
ここらじゃ主街道から離れているから売店なんて一個も無かったのに、いい商売人は鼻が利くな。
「ちょっとクイーズ、こっちへ来て」
なにやらエクサリーが手招きしている。
ふむ、なんだろうか?
何々、コレ、こっちの国の代表的な歌だって?
なるほどな、コレもレパートリーに入れようってか。
オレのギターはオート演奏があるから一度聞けば十分だが……
「ふっ、このラピスを見くびってもらっては困ります。30分いえ、15分もあれば覚えて見せます」
「俺は既に覚えた。セレナーデはどうだ?」
「少々時間を頂ければ問題ありません」
さすが天才共だな。
エクサリーは大丈夫?
えっ、集中しているから話掛けないで?
むむっ、なんか音楽にエクサリーを取られた様な感じ。
なお、ユーオリ様は諦めてお茶を飲んでいる模様。
該当曲にはエアギターをするっぽい。
そうして始まった本日二度目の演奏会。
やはり知ってる曲が流れると皆さん大興奮だ。
中にはオレ達と一緒に歌っている人も居る。
異世界で、こんなライブが開けるなんて思っても見なかった。
前世で諦めず頑張った知識が、こんな所で役に立つとはな。
出来ればこの状況をビデオに納めて起きたいほどだ。
…………出来ないかな? 今、この映像と音楽を、ゲットする事は出来ないだろうか?
今、手元には一枚のモンスターカードがある。グランドピアノさんが20レベルに達した時の報酬だ。
お子さんのカード以外にちゃんと普通のも増えてた。
ライブでテンションが上がったオレは、突拍子も無い考えを思いつく。
モノは試しだ! やってみるか!
『モンスターカード!』
突如ライブ会場の頭上に輝く一枚のカード。
観客達は演出と思って歓声を上げている。
そのカードは会場全体を照らし出し始める。
それを見てふと冷静に戻る…………やべぇ、あれもしかして観客ゲットしたりしないよな?
なんでオレはこんな事してしまったのだろう?
光の奔流が始まった。どうしよう、今からでもキャンセル出来ないかな?
まごまごしているうちに会場全体が光の奔流で溢れかえる。
観客達は大興奮だ。
最後に光が弾けとぶ! そして、金色に輝く一枚のカードがゆっくりと降りてくる。
オレはそれを手に取る。そこに描かれていた文字は――――ミュージックプレイヤーと書かれていた。
えっ!? アイ○ッド!?
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似たようなもの? ですよね☆
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