2020年2月(2) ヴォイス・トレーニング 比嘉ふみよ先生編

比嘉ひがふみよ


 バンド全体練習以外では中谷ちゅうやちゃん、摩耶まーやと私がミフユちゃんの練習に付き合って音程やリズムの調整を行った。北見先輩は衣装の準備に入っていて全体練習の際にふゆちゃんにベースからみた観点の指導をしていた。


「冬ちゃん、音高、音階とも良くなってきたねえ。摩耶より音域ちょっと低いからそれは曲をいじる。だからカラオケのキーはこれぐらい下げていいから。リズム早いと苦手そうだけどこれは慣れてね。中谷ちゃんにもっとリズム練習してって頼もうかなあ。……さ、冬ちゃん、もう一回歌ってみようか」


 頷いた冬ちゃんを確認した私はキーボードに指を走らせた。私が弾くメロディに冬ちゃんのハスキーヴォイスの歌声が乗って来た。いやあ、時間がないからガンガンいかないと。でも音感がない割りになんとかなってきた。学祭には間に合いそうだ。


 ティエンフェイのプロデュースは私が任されている。と言ってもブッキング関係は中谷ちゃんと相談して進めているので何をるのかとか演奏中の事、セットリストの案を出して決めたりとかがメイン。

 あと中谷ちゃんの暴走を止めるお仕事なんて事もあるけど、今回はあの子の幼馴染の摩耶の事だからそう面倒な事にはならないだろう。あの子の事になるとわりと冷静に思いやっている……ように見える事もある。そうじゃない事も多いけど。

 摩耶の事があったから深江キャンパス音楽祭で六甲キャンパスとか海事科学部の男子どもを叩きのめす事が出来ないかなあと思ったけど、冬ちゃんがなんとかなれば充分戦える。あとは摩耶と私の編曲作業と北見先輩の衣装、おっと、中谷ちゃんの暴走防止が全てかな。

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