金歯が愛について語る
マルぼんとヒロシが「川…綺麗だね」「マルぼんのほうが綺麗だよ…」とか言いあいながら河川敷を散歩をしていると、なんかやせこけた金歯が死にかけていました。とるものもとりあえず介抱してみると、腕には「失格」という焼印のあとが。
金歯「『うぬは金歯一族の盟主たる器ではない。人間としての器が小さいのだ。どこへでも行って、好きなように死ね』と、一万円札数枚を口に押し込まれて家を放り出されたでおじゃる」
ヒロシ「はぁ? もう金持ちじゃないくせに『おじゃる』とか言うなよ。死にたいのかよテメー」
ヒロシ(金歯の口に突っ込まれていた一万円札をポケットに隠しつつ)はこう言いますが、選挙も近いし、ここをご覧の有権者の皆様の心象をよくすべく、マルぼんは金歯を助けてやることにしました。日本の未来はマルぼんにお任せ下さい。
金歯「はようはよう。機密道具を出してほしいでおじゃる」
ヒロシ「その機密道具に頼ろうとする発想が、すでに小者なんだ」
「貴様もやん。ゴミくずのような貴様もやん」とか言うのはナシです。
金歯「人間としての器というからには、体を大きくすればいいでおじゃる。そういう機密道具を所望するでおじゃる」
ヒロシ「体じゃなくて心を大きくしないと、人間の器は大きくならないんじゃね」
金歯「うっさい。体を大きくして朕を見捨てた連中を皆殺しにするでおじゃる。心なんて邪魔でおじゃる」
ヒロシ「名案!!」
小物たちの宴に、お腹いっぱいのマルぼんですが、がんばって機密道具をだしてみることにしました。体を大きくするお薬『ビッグダディ』を用意。
マルぼん「このお薬を一錠飲めば、嘘みたいに体が大きくなるのさ。おかげで未来の世界は不自然に大きい子供ばかり。マジでキモいよ」
金歯「そんな不自然な薬、ごめんごうむるでおじゃる」
ヒロシ「体が悪くなるとか思っているの? 大丈夫。僕はどんなクスリ型の機密道具も『そいつはすごい』と飲んでいるけど、このとおり、毎日を楽しく生きているし。人生をエンジョイしているよ。最近は裸で町をうろついても、周囲の人の視線になにも感じなくなったし。草とか石とかも食べられるようになったし。主食だし。僕だけに見えるなにかとのおしゃべりも楽しいし」
金歯「ヒロシは頭とか色々なところが可哀想だから大丈夫なんでおじゃろう。…そうでおじゃるな。とりあえず、この一錠を細かく砕いて、それを飲んでみるでおじゃる。そうしたら、体への悪影響も少ないはずでおじゃるからな」
マルぼん「そんなみみっちぃ変な飲み方をしたら…」
金歯「みみっちぃとか言うな、朕は石橋を叩いて渡る性格なのでおじゃる!!」
4分の1程度に砕いた『ビッグダディ』を飲む金歯。その瞬間、お腹がボコッと膨れ上がりました。
金歯「こ、この感覚。お腹の中に命が!? このふしぎな感情は、母性っ!?」
マルぼん「『ビッグダディ』は一錠飲んではじめて体の全てが大きくなるクスリなんだ。4分の1しか飲まなかったら、体の4分の1しか大きくならないのは当然!!」
体の4分の1だけがどんどん大きくなる金歯を見て、マルぼんは『人間、体より肝っ玉が大きくないと
いけないな』と思いました。
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