悪いなこいつは一人乗り

ヒロシ「今日から僕が勤めることになった宇宙戦艦ハンプティーダンプティー。よし、こいつで侵略者どもを撃退してやりたい放題だ!」



艦長「敵の攻撃のせいで本艦は沈むことになりました。ざんねーん。脱出装置は1人乗りなので、皆さんの分まで僕は長生きしますです」



ヒロシ「ええー!?」



 その日、多くの命が宇宙(うみ)の光となりました。



ヒロシ「しかし酷い目にあった」



マルぼん「まさか脱出装置が1人乗りだとはねえ。実はね、今後こういうことがないようにだね、すばらしい機密道具を用意しておいたよ。『二人糊』。この糊を塗りたくったものは、なんでもかんでも2人乗りになるのさ。あれ?」



ヒロシ「どうしたの?」



マルぼん「用意しておいた糊が半分しかねえんだ。いったいどこに」



ママさん「ヒロくん」



マルぼん「あ、ママさんが」



ヒロシ「なんか体全体が糊でべとべとになっている。そういえば『糊を使ったプレイにはまっている』とか言っていたな。『二人糊』を使ったんだ!」



ママさん「この2人が新しいパパたちよ」



男A「よろしく」



男B「もうさみしい思いをさせないよ、ヒロシくん」



マルぼん「なにかの拍子で『二人糊』を浴びてしまったママさんは、二人乗りになってしまったんだ」



ヒロシ「ちょ、ちょっと待って。ということは、僕が『二人糊』を浴びれば、美女二人に乗られるというわけ!? うへっ!!」



「飲んだほうが効果はありそう!!」と『二人糊』を飲み干すヒロシ。その瞬間、卒倒ですよ、卒倒。



マルぼん「大丈夫か!!」



ヒロシ「なぜ殺す」



 しわがれた老人のような声で返事をするヒロシ。



ヒロシ「私を殺すな、殺すな、殺すな殺すな」



 頭をぐるぐる回転させながら、四つんばいのまま、すごいスピードで部屋を走り始めるヒロシ。



ママさん「こ、これは」



マルぼん「『二人糊』の効果で二人乗りになったヒロシに、見えない同乗者が乗ってしまったみたいで…」



 ヒロシが突然、のど元に食らいついてきました。マルぼんは薄れゆく意識の中、『二人糊』の効果は絶大だと思いました。

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