キミキズ
ヒロシ「先日、授業中に以下のようなことがあったんだ」
以下、回想シーン。
担任「いきなりですが、試験をしまーす。抜き打ちでーす。日ごろからきちんと勉強していたら大丈夫だろ」
ルナちゃん「私は絶対しませんので」
担任「わがまま言ったらいけないよ」
ルナちゃん「しません。しません。絶対しません。しませんの!」
そう叫ぶと、机の角に己の頭を激しく打ちつけ始めるルナちゃん。額から血が噴水のごとく噴出します。
ルナちゃん「しません。テストしません!」
担任「わかったから、わかったから止めるんだ! どなたか、救急車呼んで!」
以上、回想シーン。
ヒロシ「自傷行為ってのは、どんなわがままで押し通せるすばらしい方法であると思ったんだ。そこで僕も自傷行為をマスターしようと考えたんだけど、その痛いのは苦手で……えへへへ。体のどこでもいいから傷をつけたいんだ。それで自傷行為をしたってことにするの。痛みもなく体に傷をつけられる機密道具をだしてよ、マルぼん」
マルぼん「『殺傷能力はあるけど痛みはない刃物』これで、手首なりなんなりを切りな」
ヒロシ「わぁ、ありがとうマルぼん。どこに傷をつけようかな」
と、その時、ヒロシの携帯からメールの着信音。
ヒロシ「あ、ナンシーからだ」
ナンシーはヒロシの交際相手の女性です。
ヒロシ「話したいことがあるって。ちょっと行って来るよ、マルぼん」
そのまま出かけるヒロシ。死んだ魚のような目をして帰ってきたのは5時間ほどたった頃で、なぜか泥だらけでした。まるで地面に穴でも掘って、なにかを埋めてきたかのような。マルぼんが理由を尋ねると
ヒロシ「いきなり、いきなり別れたいなんていうから!」
と震える声で叫んで、部屋の隅で膝を抱えて座り、なんかブツブツつぶやき始めました。マルぼんは、ヒロシの脛に傷をつけた『殺傷能力はあるけど痛みはない刃物』の効果は絶大だと思いました。
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