サイボーグ用務員さん

ヒロシ「あれ!?」



マルぼん「どうしたの?」



ヒロシ「今、愛読している『人間のクズ子ちゃん』って漫画の最新刊を読んでいるんだけど…収録されていない話があるんだ。第666話の『美味しい話にはウラがある!?の巻』ってヤツ」



マルぼん「いわゆる単行本未収録ってヤツだな。掲載されている号を探すか、全話収録される完全版の刊行を待つしかないよ」



ヒロシ「それはわかっているけど…なぜに未収録になったんだろう。第666話…」



マルぼん「『100円探偵ロボ』。この探偵ロボに100円払うと、身近にある謎をひとつだけ解き明かしてくれる。こいつに調査を頼んでみよう」



ヒロシ「お願いします」



探偵ロボ「任せナ」



『100円探偵ロボ』は、あっという間に『人間のクズ子ちゃん 第666話「美味しい話にはウラがある!?の巻」』未収録の謎を解き明かしてきました。



探偵ロボ「666話には、人食いの描写があったんだ」



ヒロシ「カニバリズムか! 未収録の原因の、定番だ!」



探偵ロボ「その描写がまずかった。『人間を食料とみなす会』という団体からな、『あの描写では、読者は人間の肉がまずいかのような印象を受ける!』というクレームが入ったんだ。未収録は、その団体に配慮してのことさ」



ヒロシ「許せぬ!」



 漫画にかけては、生きること以上に情熱をかけているヒロシが怒りました。



ヒロシ「『人間を食料とみなす会』に、一言物申してくる!」



 意気揚々とでかけていきましたが、それから数日してもヒロシは帰ってきませんでした。



『人間を食料とみなす会』の事務所近くで、半裸の状態のヒロシが保護されたのはさらに数日後のことでした。



 失踪していた間のことを尋ねても、ヒロシはガタガタ震えながら首を横に振るだけ。ヒロシの脳からこの数日の記憶は、完全に消えうせてしまっていたのです。



「あいつら、もう我慢できねえ!」



 子供がどうにかなってしまったことで、日頃から『人間を食料とみなす会』に不信感を持っていた人たちの怒りが爆発。



 彼らは武器を手に取り、『人間を食料とみなす会』の事務所を襲撃しました。『人間を食料とみなす会』のメンバーも反撃し、たくさんの血が流れ、多数の命が星となりました。マルぼんの知り合いも多く参加して、今では思い出の中でしか会えなくなった人も多いです。



 あまりの惨劇だったためでしょうか。微笑町の歴史を記した『微笑町実記』という本には、この日のことは一切、掲載されていませんでした。未収録に、なっていたのです。



 マルぼんは、まぁ、色々絶大だなと思いました。

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