キズミーベイベー

 ママさんの浮気が発覚(3日ぶり398回目)。温厚で名を馳せた、現在のパパさんもこれには激怒。



パパさん「まさかワシの財産目当てだったとは! この女狐!」



ママさん「ちがうの、ダーリン! 誤解なの、ダーリン! 愛しているわ、ダーリン! だから、その刃物のようなものをしまって!」



パパさん「貴様の体を掻っ捌き、どこに愛があるのか確かめてやる! 胃か!? 腸か!? 胆のうか!?」



ママさん「ぎにゃー!!」



パパさん「この女の血をひく貴様も、だ!」



ヒロシ「ぎにゃー!!」



マルぼん「ヒロシー!! 今助けるぞ!」



 マルぼんは機密道具『完治包帯』を取り出すと、包帯でヒロシをグルグルまきにしました。しばらくして包帯を取ると、パパさんに刺された傷が完治!



マルぼん「この包帯で体を巻かれた怪我人は、包帯を外すとありとあらゆる傷が癒えているんだ」



ヒロシ「なるほど。さすが機密道具だね。実は僕、目の前で父親が母親を刺すという光景をみたのに、命が奪われる瞬間を目撃したのに、別になんの感情も湧かないんだ。むしろ『やった。保険金ゲット!』『やった! ついに死におった!』『やった。これからあれこれ言われなくなる!』『やった! 明日から、付き合っている女性を家に連れ込める!』なんて、嬉しくてしかたがないくらい! 全然悲しくなかったのも、涙ひとつ流れなかったのも、心うきうきわくわくだったのも、『完治包帯』の効果で心の傷が癒えたからなんだね! 哀しみの源である心の傷が癒えたからなんだね! 心の傷があったら、悲しくて泣きじゃってくるはずだものね!!」



マルぼん「『完治包帯』に心の傷を癒す効果は、ない」



 その後、ヒロシは虫の死骸とか集めだしたりし、怖くなったマルぼんは、その手のお医者さんに色々託すことにしました。めでたしめでたし。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る