部屋と人妻とわたし

ヒロシ「あああああああ。ぼぼぼぼぼぼぼ僕の大切なDVD『人妻・オブ・ザ・デッド』を勝手にみおったなー…殺す!」



マルぼん「な、なんだよ。DVDは観るためのものだろ! なんでダメなんだよ!」



ヒロシ「『人妻・オブ・ザ・デッド』は速攻で発売中止になったレアDVDで、もう手に入らないの! それは保存用なの! それを…それを勝手に開封しおってからに…殺す!」



マルぼん「なんだと!」



ヒロシ「デッキと相性が悪くて、傷とかついていたらどうしてくれる…殺す!」



マルぼん「傷が怖くてDVDが見れるかよ!」



ヒロシ「見ないの! 保存用なの! それを貴様…殺す!」



マルぼん「見ることのできないDVDになんの価値がある!」



ヒロシ「私物にどんな価値を見出すかは、持ち主の勝手だ…殺す! この硫酸で、殺す!」



マルぼん「ままままままって。そ、そうだ。このDVD、未使用の状態にすればいいんだろ、保存用の状態に! よい機密道具があるんだ!」



ヒロシ「よい機密道具じゃなかったら…殺す!」



マルぼん「『新品同様スプレー』。こ、このスプレーをかけるとだな、どんなものでも新品同様になる。傷とかも消える」



ヒロシ「ならなかったら…殺す!」



『新品同様スプレー』の効果は絶大だったので、『人妻・オブ・ザ・デッド』のDVDは未開封の状態に戻り、ヒロシの機嫌も直りました。



ヒロシ「いやーさすがマルぼんだね…殺す!」



マルぼん「これからは保存用には保存用、観賞用には観賞用、布教用には布教用ときちんと明記しておいておくれよ」



ヒロシ「わかった…殺す!」



ママさん「ヒロくん、あら、どうしたの。膝から血がでているじゃない!」



ヒロシ「ああ。さっきでかけたとき、ちょっと転んですりむいたんだ…殺す!」



ママさん「ああ、なんてこと! あなたは大事な大沼家の跡取り息子。怪我なんてさせたら、ご先祖さまに申し訳がたたないわ。よし決めた! ちょっと来て」



 ヒロシを庭の蔵へと連れて行くママさん。蔵のなかにヒロシをいれると、外から鍵をかけました。



ヒロシ「な、なにするのさ、母さん…殺す!」



ママさん「外にでて怪我をしたり、チンピラに刺されたりしたら大変。ここなら安全よ。毎日食事も運んであげるし」



ヒロシ「ちょ…だして。だしてよ、母さん…殺す!」



ママさん「安全安全。ここなら傷つくこともない。安全安全…」



 こうしてヒロシは保存用になりました。布教用と観賞用があるかはわかりませんが、マルぼんは『新品同様スプレー』の効果は絶大だと思いました。

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