ヒロシ、裏切り者の名を受ける

 ヒロシ「む。あそこでなにやら話をしている2人組がいるぞ。なにを話しているか気になるな。なんとか聞くことはできないかな」



マルぼん「『ヘルズ・イヤホン』。このイヤホンを付けると、地獄耳になり、人様の秘密の会話なんかも聞き取ることができるんさ」



ヒロシ「おう。そいつはナイスな機密道具。さっそく装着して」



マルぼん「ああ、残念。話が終わったらしく、2人組は離れてしまったよ」



ヒロシ「聞こえた!」



マルぼん「はい?」



ヒロシ「ほら、2人組がいたところから10mくらいさきのところ。ルナちゃんと金歯がなんか話しているだろ。それが聞こえた。やつら、やつら僕の悪口を言っているんだ」



マルぼん「そうかなぁ。なんか普通に話しているだけに見えるけど。『ヘルズ・イヤホン』では、あんな遠くの会話は聞き取れないよ」



ヒロシ「僕は地獄耳になったんだぞ。間違えなく聞こえたの! あ!」



マルぼん「どうした」



ヒロシ「あそこの公衆電話を使っている男、僕の悪口を家族に伝えているぞ。僕の地獄耳がたしかに聞き取った」



マルぼん「おい」



ヒロシ「あの女も、その男も、みんな僕の悪口を言っている。『なにあのきもい小学生』『なにあのきもい生き物』とか言っているに違いない。心にはそう聞こえたんだ。わかる、わかるぞ! 子犬も笑ってる。お日様も笑っている。僕を見て笑っている! あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。おのれ人間どもめー。おのれ人間どもめーあひゃひゃひゃひゃ。マルぼんありがとう、地獄耳になれたおかげで、人間の醜さがわかったよ」



マルぼん「それ、地獄耳じゃなくて被害妄想な」

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