前倒し人生

 ここは太陽系第三惑星にある大沼宅。



パパさん「バイト代がようやく出たぞ。よし、早速飲みに行こう!」



マルぼん「パパさん。いつも給料がでたらすぐに使ってしまっていますけど、貯金するなりして、将来のことを考えないといけやせんよ。老後のこととか」



パパさん「貯金て(笑)。荒れた21世紀だ。もしかしたら明日死ぬかもしれないのに、貯金なんて馬鹿なことできないな!」



ヒロシ「なんてオトナだ。目先のことしか考えてないよ。このままじゃ、僕、すこやかに育てない。マルぼん、義父さんをなんとか更正させてよう」



マルぼん「引き受けた!」



 マルぼんはなにやらあやしげな機械をいずこからか持ち出してきて、パパさんの前でいじりはじめました。



パパさん「おい、なにをやっているんだ。って、ああ!」


 

 なんということでしょう。パパさんが瞬時にがいつの間にか老いたではありませんか



パパさん「ふがー、どうしようどうしよう! 後期高齢者医療制度とかどうしよう!」



マルぼん「この機械を使えば、将来起こることを前倒しにして、今起こすことができる。目先のことしか考えないのなら、本当に考えなければいけない将来のことを目先にもってくればいいんだ」



 とりあえず、老後の問題を目先のことにしてみたのです。



パパさん「ふがふが」



ヒロシ「すごいや。これでどんどん将来義父さんに起こるさまざまな諸問題を

今起こしまくって、世界中の目先のことしか考えないヤツに対するプレッシャーにしよう」



マルぼん「よし、まかせとけ!」



 マルぼんは機械をいじっていじっていじりたおして、機械が『ふぇぇぇ。もうやだよぉ。おうちにかえりたいよぉ」と言うまでいじりたおして、「妻が浮気」「浮気相手がヤクザの情婦でさぁ大変」「バイト先倒産」「いつの間にかバイト先の社長の借金の保証人になっていたことが発覚して、さらには社長が逃亡してさぁ大変」「息子が交通事故でヤクザの車に傷を」「息子が同級生をカッターで」「息子が(以下略)」「むす(略)」「む(略)」「火事で家が焼けた」「隣国が核ミサイル誤射。それがきっかけで戦争が起こって、さようなら人類。当然パパさんも」など、将来パパさんに起こる様々な諸問題を、前倒しで起こしまくったのでした。



 そして誰もいなくなりました。完。

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