カバーアルバム

 微笑町出身の女演歌歌手・山田メイド服さん(38歳)が亡くなりました。

先輩演歌歌手で、歌謡界で絶大な権力をもっているサブ島ノース郎氏に謀反を起こそうとして、

返り討ちになったのです。サブ島氏は、メイド服さんにとって特別な人でした。時には師匠、時には親代わり、時には恋人。なぜ謀反を起こそうとしたかは、歴史の闇だけが知っています。



 メイド服さんと親交のあった歌手数人が、彼女の曲をカバーしたアルバムを発表しました。その歌手の中には、我らが金歯の姿も。



ヒロシ「金だ! 金の力だ! あの薄汚い金歯は、薄汚い金の力で、メイド服さんのカバーアルバムに参加しやがった!」



マルぼん「そう」



ヒロシ「ボクも誰かのカバーアルバムとかに参加したいよ。アルバムじゃなくてもいい! なんでもいい、カバーしたい!」



マルぼん「そうだな。それならこういう機密道具がある。これは…『ボラシニコフの淡い涙』という機密道具で」




黒服「おい、大沼。時間やで」



ヒロシ「え、もうですか」



黒服「そうや。さっさときて、さっさと働いて、さっさと金をかえさんかい」



ヒロシ「うう。体調が悪くなるからいやなんだよな」



 黒服はヒロシをつれて出て行きました。ヒロシを保証人にして借金を残したルナちゃんが姿を消したため、いまからヒロシはバイトで町内某所の掃除です。防護服を着ないと入ることのできない場所なのですが、着ていると掃除が行き届かない隙間があります。そこを生まれたままの姿で掃除するバイト。これなら、一年ほどで借金を完済できるそうです。



 すでにヒロシは、ルナちゃんの人生をカバーしていました。マルぼんは、出してもいないのに力を発揮していた『ボラシニコフの淡い涙』の効果は絶大だと思いました。

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