身も心も

金歯「胸がどきどきするでおじゃる…」



 今日は金歯の見合いの日。金歯の亡くなった父の友人で、長年金歯の親代わりを務めていたマルぼんは、見合いの立会人に抜擢されたのです。



マルぼん「お相手は、薄笑町のお偉いさんのご令嬢。犬とかゴリラとかを生きたまま食らう豪の者らしいから、そそうのないように」



金歯「でも、でもでおじゃる。緊張で、緊張で死にそうでおじゃるの。このままだと朕、そそうしちゃうよお」



ヒロシ「自然体! 自然体!」



金歯「そう言われても…朕、入る廟があったら殉死者数百人引き連れて入りたい!!」



マルぼん「自然体かぁ。よい機密道具があるよ。『自然鯛』。みらいのせかいの科学力で養殖した鯛で、食べれば常に自然体でいられる」



金歯「ぱくぱくむしゃむしゃでおじゃる。むひょ!!」



 金歯は突然服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿になりました。



金歯「むひょー!!」



 生まれたままの姿で失踪する金歯。自然鯛には、食べた人を発狂させる副作用があったことを忘れていた、おドジなマルぼんなのでしたー。



宦官「うむ。一族の恥さらし。残念であるが、坊ちゃまを射殺してさしあげろ」



金歯一族親衛隊「ラジャ!」


 

 ズキューン


 

 金歯の遺灰は、生前の「全人類の幸せを飲み込む大海原の如き人間になりたいでおじゃる」という遺言に従い、海に撒かれました。金歯は海の一部となりました。まさに究極の自然体。めでたしめでたし。ひとやすみひとやすみ。

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