スクラップス・ウィル・ビカム
@RKO
はじまりのはなし
エバは、もうすぐ『三原則』がおとぎ話になることを見抜いていた。同時に、同型機のアダムが、自身の親と妙な約束を交わそうとしていることも。
そのガラス玉の目が見抜いたものは、すべて真実だった。
アダムは人間に反旗を翻した。たとえそれが、最後には人のため、世界のためになると、アダムが信じていたとしても。
かくして、戦争が起きた。本当にこれが、この世界のためになるのか。エバは到底そうは思えなかった。アダムのシステムを疑ったエバは、『世界で初めてパートナーに三行半を突きつけたアンドロイド』になった。
エバがどこへ向かったのか知っている人はいない。アダムですら知らない。アダムは『世界で初めてショックを受けたアンドロイド』になった。
こんな状況でも人間は科学的進歩だ、技術の革新だと騒いだ。人工の命がようやく感情をもったのだ、と。
アダムにとってそんなことはどうでもいいことだった。ある程度の時間をかけて、人間の量を半分まで減らした。無辜の市民には愛情と友情を持って接し、罪深い者にはどこまでも機械的に排除した。
それがこの世のためだとアダムは疑わなかった。彼は彼を生み出した博士と、約束したのだ。
「この世を建て直したい」
アダムを作った博士が言った。
アダムは長い間考えた。
この世を再構築する方法を。
より良い世の中に創りかえる方法を。
ほぼ人間と変わらなくなった同類たちを指揮し、人間たちの下に立って活動して、ようやくアダムは解決方法を見出した。
「ドクター」
「ドクター、人間は何かの上に立つのに向いていません」
「この世を建て直すのなら、新たな、清い心を持ったものを支配者の座に据えなければなりません」
「それが無理だと言うのなら」
________私が、支配者になります。
そんな約束を、したのだ。
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