第13話 13

「神よ! 私の愛するセーラお嬢様をお助け下さい!」


バッキーは教会で祈りを捧げていました。


「バッキー。あなたの願いを叶えましょう。」

「か、神様!?」

「いいえ、私は上中天使です。」

「天使さまなのですね!? どうか! セーラお嬢様をヒロインにして下さい! そのためなら私は何でもやります!」

「いいでしょう。あなたが私の手足となり言うことを聞くのであれば、あなたの望みを叶えましょう。」

「ありがとうございます! ああ! 天使さま! 私がお嬢様の夢を叶えてみせます!」


こうしてメイドのバッキーは、大好きなセーラお嬢様のために、中途半端な天使ララキの手先になったのでした。


「死ね! カトリーヌ・ねこぴょん!」

「んん? なんだ? 殺気を感じる!?」

「ドキッ!?」

「どうなさいましたか? カトリーヌ・ねこぴょん様?」

「何かさっきのようなプレッシャーを感じたのだが、・・・気のせいか?」

「周囲には誰もいませんが?」

「そうか。私の気のせいかもしれないな。」

「目の前で戦闘が行われているんです。殺気を感じるのは普通ではありませんか?」

「そうだな。バッキーの言う通りだ。これからの戦いに私も不安になっているのかもしれない。」

「不安? 天下のカトリーヌ・ねこぴょん様が?」

「私だって、普通の人間だよ。勝手に周りの者に担がれただけの張りぼてのかかしと同じさ。」

「張りぼてのかかし!?」

「リーダーなど、周りから文句を言われるだけの孤独な仕事だ。誰が好き好んでやるものか。はあ・・・。」

「そんなものですか・・・。」

「出陣の支度をする。奴隷犬を呼んできてくれないか?」

「かしこまりました。」


カトリーヌ・ねこぴょん様も意外と普通。そう思いながらバッキーは奴隷犬を呼びに行くのだった。


その頃、サンの町の中では・・・。


「この町は、俺様の町だ!」

「何を! 俺様の町だ!」

「戦っているのは・・・人間!? 人間同士だ!?」


突撃したカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊隊長セーラが見たものは、町を破壊しながら戦うライト・レフト兄弟であった。それぞれ自分の子分を引き連れて100対100くらいの激しい戦闘を繰り広げていた。


「キャア!?」

「やめてください!?」

「怖いよ!? 助けて!?」

「逃げろ! 逃げるんだ!?」


町の人々はライトとレフトの戦いに巻き込まれて泣いたり、戸惑い、逃げ惑うであった。


「これはいけない。カトリーヌ・ねこぴょん様にご報告しなければ!」


セーラは町で起こっている出来事をカトリーヌ・ねこぴょん様に伝えようとした。


「あ? なんだ? おまえたちは?」

「死にたいのか!? 殺すぞ!?」

「しまった!? 見つかったか!?」

「見かけない顔だな? よそ者か?」

「若い女が手下を30人は連れている。どこかの城の部隊か?」

「見つかってしまっては仕方がない。私はカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊隊長セーラ。おまえたちを退治してくれる!」


こうしてカトリーヌ・ねこぴょん様親衛隊隊長セーラとライト・レフト兄弟の兄弟ゲンカが大きくなってしまったのであった。


つづく。

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