明日に向けて


「はい、魔臓十五個を確認しました。それでは、クエストの報酬をお受け取りください。ボーナスは一つにつき銅貨5枚です」

「わかりました。ありがとうございます」


 俺は今ギルドにてクエスト達成のため、手に入れたゴブリンの魔臓を渡しているところだ。リアラはギルドの外で待ってもらっている。

 今回のクエストのボーナスは魔臓一つにつき銅貨5枚だそうだ。

 クエスト対象のノルマが十個で余りは五個。報酬金額が銀貨5枚と銅貨8枚。ボーナスと合わせて銀貨5枚と銅貨33枚でそれらを換算すると銀貨8枚と銅貨3枚か。


「日本円で表すと八百三十円ってところか?」


 馬車て商人から聞いた話によると、この世界のお金は大金貨が金貨10枚の価値で、金貨が銀貨10枚の価値、銀貨が銅貨10枚の価値があるそうだ。

 これらを日本円にすると、大金貨が一万円で金貨が千円、銀貨が百円で銅貨が十円だ。


「とりあえず、ギルドの外に行くか。リアラも待ってもらっているし」


 俺は報酬を受け取ってからギルドの外に出た。


「待たせたな」

「いえ、全然待ってませんから」


 俺がメタ〇ギアで有名なセリフを言ってみたが、リアラに普通に返されてしまった。いや、それが普通なんだけどね!


「それよりもお腹が減りました!早くご飯を食べましょう!」

「そうだな。俺も腹が減ったしな」


 いつの間にか夜になっていた。朝から結構動いたのに俺は今日一日ご飯を食べていない。正直言って死にそうだ。

 お腹と背中がくっつきそうとはこういう感じなんだな。


「じゃあ、店探すか」

「そうですね!」


 俺達は、店を探すために歩き出した。

 そして、数分もしない内に一つ料理が食べれそうな店を見つけた。名前はフラーデンと言うらしい。

 俺は、その店に入ろうとドアを開けた。


「いらっしゃいませ!」

「………………」


俺は何も言わず、無言でそっとドアを閉めた。


「ん?どうしたんですか?早く中に入りましょうよ」

「……リアラ、この店ヤバい」

「え?」


 いや、店自体は普通の店だった。ただ、店員がな……?

 俺は覚悟を決めてもう一度ドアを開けた。


「いらっしゃいませ!」

「………………な?」

「………はい、さすがにこれは驚きました」


 何故驚いたのかだって?それは……。


「二名様でよろしいですか?」


 声からして女性ということはわかる。しかし、見た目が完全になのだ。

 例えるなら、見た目は男サイ○人。頭脳は女性だ。

 しかも、この人に限らずこの店の店員全員がそうなのだ。何この地獄絵図。


「に、二名で」

「かしこまりました。では、こちらにどうぞ!」


 そう言われて俺達は店員さんについて行く。座った席はよくある二人用のテーブルだ。


「ご注文が決まりましたらお呼びください」


くそう言って店員さんはどこかへ行った。


「リアラ」

「はい、何でしょうか?」

「この店で最低限の料理を食べたらすぐに出るぞ。じゃないと、俺の精神がヤバい」

「それは同感です」


 そう俺達は決めて店で料理を注文して食べ始めた。

 暫くしてから食べ終えて、会計を済ませる。


「またのご来店お待ちしております!」


 そう言って店員さんは頭を下げて俺は店のドアを閉めた。出来ればもうここには来たくない。


「酷い夢を見た気がする」

「残念ですが、あれは現実です」

「デスヨネー」


 料理は美味しかったので良かった。これで料理が美味しくなかったらマジで地獄だった。

 でも、夜ご飯は食べれから後はギルドの人に教えて貰った宿に行って寝るだけだ。さっきの食事代が銅貨15枚という破格の安さだったのでお金にはまだ余裕がある。


「よし、宿に向かうか。ここからかなり近いところにあるはずだ」

「やっとゆっくり休めますね」


 俺達は宿に向かって歩いた。

 宿はあの店から歩いて3分も掛からなかった。


「いらっしゃい!一泊なら銅貨25枚か銀貨2銅貨5枚枚、一泊朝食付きなら銅貨30枚か銀貨3枚だよ」

「朝ごはん付きで二部屋お願いします」


そう言って俺は銀貨3枚を宿の人に渡した。


「銀貨3枚ぴったしと。部屋は二階の部屋を使いな」


 俺はおつりを受け取って、言われた通りに二階へ向かった。俺はリアラに向かって『おやすみ』と一言言った。


「おやすみなさいシロウさん。また明日」


 そう返して、リアラ自分の部屋に入った。

 そして、俺も部屋の中に入った。俺は鍵を閉め、ベットに寝転んだ。疲れているのか、すぐに瞼が重くなってくる。


「明日も楽しい一日になりますように」


 そう呟いて、俺は目を閉じて眠りについた。

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