第40話 役目に染まる
捨てる神あれば拾う神ありと言うけれど、私は今月、捨てる神を担当している。
恋人に愛想を尽かされ意外な相手から言い寄られた。ブラック企業から首を切られ好条件の職場に出会った。そんな時人は、捨てる神を罵って拾う神を崇める。
この時期の捨てる神は、受験生の恨みを一身に受け穢れが溜まる。どす黒くなった着物の裾に辟易していると、私と対照的に人々の感謝を受けつやつや輝く、拾う神が現れた。
「肌の調子が頗る良くて助かる」
「じゃあ化粧水買ってよ」
この高評価のやつ、とスマホを見せると、奴は哀れっぽく私の頭を撫でる。
「可哀想に。貧相なお前に恵んでやろう」
なるほどこいつ、拾う神だ。私は憎しみを込め、奴の足を踏んづけた。
改行・スペース抜き299字
Twitter300字ss企画 第八十四回 お題「捨てる」
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