117.迷子の迷子の子猫ちゃん

長い付き合いがあるわけでもないがアンさんのあの様子は何か慌てるほどのことがあったのだろう。


「ソラ様、ここにお嬢様が来られませんでしたか?」


「いえ、俺はアントレ侯爵に呼ばれた日以来会っていませんよ?何があったのですか?」


「お嬢様が一人で外出してしまったようなのです。」


貴族の令嬢が一人で外出なんて大丈夫なのか?


「どうしてまた一人で外出したんですか?」


「ソラ様がお屋敷に来た日以来お嬢様はソラ様に誤りたいとおっしゃっていたのです。しかしソラ様が迷宮攻略をされていると聞いて迷宮攻略が終わるのをずっと待っていらっしゃいました。そして今日遂にソラ様が迷宮から戻られた話を聞いて伴も付けずに一人で飛び出してしまったようなのです。」


それは暗に俺が迷宮に籠っていたのが悪いと言いたいんですかね。


ただここはクマの質問から逃げる口実に使わしてもらおう。


リーゼちゃんも心配だしね。


「因みにリーゼ様はいつ頃出かけられたんですか?」


「少なくとも2時間以上は前です。」


アントレ侯爵の屋敷からギルドまでは小一時間で来れる距離だからその倍以上の時間が経っているのか。


それは心配だな。


「クマ確認だけど今日ギルドにはリーゼ様は来られてないよな?」


「ああ、今日は朝からここに立ってたが見てないぜ。みんな!!今日女の子がギルドに来てないか!?」


ギルドのみんなも首を振ったり、見ていないと言っている。


やはりギルドには来ていないようだ。


「クマ捜索依頼を出したい。有用な情報に銀貨1枚!居場所を見つけたら銀貨10枚で!とりあえず金貨5枚を預けておく。」


「みんな聞いたな!お嬢ちゃんの捜索だ!報酬は英雄様が出してくれるぞ!」


「「「「おお!!!」」」」


「これはアントレ侯爵家の問題です。ソラ様にそこまでして頂くわけにはいきません。」


そう言ってもリーゼちゃんは知らない子でもない。


多少なりとも知っている女の子が行方不明なんだできることはしたいってのが人情ってもんだろ?


「これは俺がやりたいからやるんです。アンはお気になさらずに。」


「しかし、貴族家で起こったことです。少なからず何かに陰謀が関わっている可能性があります。それにソラ様を巻き込みむ可能性がある以上お止めください。それにすでに屋敷の者全員で捜索を開始しております。」


確かに貴族同士の陰謀なんて面倒なことに巻き込まれるのは絶対に避けたいけど、もしリーゼちゃんがこのまま見つからなかったら絶対後悔するからな。


それに人数が多いに越したことはないよね。


「可能性は低いんですよね?」


「ええ、まぁ。今は直接争っている貴族家はいないはずですが・・・。」


「なら大丈夫でしょう。とにかく今はリーゼ様のためにも一刻も早く捜索を開始しましょう。」


アンさんは可愛らしい顔を喜びと申し訳なさが入り混じった複雑な表情にさせて頷いた。


俺はさっそ≪拡大魔力探知≫でリーゼちゃんの魔力を探し始める。

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