第6話 苦悩する神
吾輩は神である。名前は、秘密だ。
先日、小説でも書いてみようかと、『頭と頭をぶつけると精神が入れ替わる』という能力を田村という男に与えたのだが、かなりまずいことになった。
当初はOLや女子高生あたりと入れ替わって、ドキドキの物語展開になることを期待していたのだが、何を血迷ったのか野生のヒグマと入れ替わりおった。
そこまではまだ良かった。想定外の方向に進んでいるものの、まだコメディとして成り立つ笑える話だった。
だが、その後、更に血迷ったことに、ヒグマの身体を木村に押し付けて、自分だけ元の身体に戻ってしまったのだ。
ふざけんなよ田村。何やってんだよ。お前はクマとして生きていくはずだったんだよ!
こんな展開は全くの想定外だ。
現在、今後のストーリーに重大な影響を与える分岐点に差し掛かっている。
あくまでも、入れ替わりの特殊能力を持つのは田村なのだから、田村を観察していれば良いのか。
あるいは、ヒグマになってしまった木村を追えば良いのか。
判断に迷うところである。
しかし、田村が都合よくまた他人と入れ替わるとも限らないし、木村は檻の中からスタートだ。
かなり行き詰った感がある。
この物語はもはやこれまでなのだろうか。
それは嫌だ。絶対に嫌だ。
こんな終わり方をしたのでは、異世界転移モノを書いている連中に笑われてしまう。
糞! 糞! 糞!
このネタは絶対いけると思ったのに、何でこんな事になっているんだ。
ページビューは全然増えないし、評価も全く上がらない。
オカシイじゃないか。だって、私は神だぞ?
早くなんとかしないと…
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