精霊機伝説
南雲遊火
精霊機伝説
プロローグ
幼い少年の頭上を、轟音とともに、複数の巨大な影が疾走する。
覆いかぶさる母の肩越しに、少年はその、青い空を見上げた。
背中に接した地面が揺れ、近くで何かが爆発したのか、あたりに轟音が響き渡る。
自分が生まれる前から、何百年……否、何千年と続く戦争の『主人公』と、其れを彩る『傍役』たち。
華やかで、繊細で、『ヒト』の姿を模した、金属の塊。
あまたの『英雄』をその身に乗せ、一撃で人間を、都市を屠る、『神』の『使徒』。
それでも、彼の赤い目に映る、その『機体』たちは。
子どもながら、彼は。
美しい、と、思った。
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