探検!リザードの里 ~前編~

オオオオオ~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!


「な、なんだ!?何が起きた!?」


宴の翌日、俺は昨日の疲れを取るためにぐっすりと寝ていたのだが地響きが起きそうなぐらい大きな雄たけびを聞き飛び起きた。

恐ろしい魔物でも出たのかと思い慌てて寝室を出たのだが底にいたのはいつも通りに

過ごしているオオイリ商店の面々だった。


「あ、おはようございます、主様!今日もいい天気ですよ。」

「ゴシュジン、今起きたのか。あい変わらず起きるのが遅いな。」

「大方、戦士たちの出陣前の雄たけびで飛び起きただけでしょう。」

「いやいや、主の事だから朝ごはんの匂いに釣られたんじゃないかな。」


朝から俺への扱い酷くない?俺、ご主人様だぞ、ご主人様、ご主人様であってるよね?

とりあえず、メイちゃんの頭を撫でて適当に朝の挨拶をして朝ごはんを貰った。

メニューは昨日の宴の残り物だったので美味しいのは解ってるけど朝から肉ってきつくない?

まぁ、食べましたけどね。


今日はリーサとネフェルが集落を案内してるという事なので喜んで付いて行くことにしよう。

昨日は、着くなり救援物資をひたすら配り続けて夜はそのまま歓迎の宴に突入だったからどこに何があるか良く解らずだからな。

それに、何とかして街で売れそうなものを仕入れなければ大赤字でヤバいからな。

ホント、商人は辛いよ。


・・・

・・


「ここが集落の中心の広場ダ。昨日みたいに宴とかはココで行うゾ。ココを中心に北に向かうと『塩の祠』南に行くと荒野に出ルナ。西に行くと『戦士や職人たちの詰め所』があって東にみんなの家がアルゾ。」


リーサのセリフ合わせてその方角を見てみると北側は岩山が広がっており西側は大きな建物が2~3個見え、東側は先ほど通ってきた道で住居とババ様の家がだったな。

南は昨日通ってきた荒野だから改めていう事はないな、微かにサイクロプス族がいたガンドラダ要塞が見えた。


「そういえばちょくちょく戦士が出てくるけど彼らはこの広い荒野を日夜走り回ってるのか?」


「流石に連日それではリザード族でも倒れますからソレは無いですよ。ちょうどいい機会ですからご案内しましょう。」


そう言うと西側に案内してくれるという事なので俺たちは戦士たちの西側エリアに向かったのだった。


・・

・・・


キュイキュイ、キュイーン、キュンキュン

案内されてやってきたのは戦士たちの詰め所だった、と言ってもこの時間は戦士たちが出払っているので出迎えてくれたのは戦士のお世話しているラミア族の人たちだった。

キュキュン、キュルキュル、キュルルン

そこで見たのはこの広い荒野を生き抜く相棒だった、そう今俺を囲んでいる生き物達だ。


「珍しいですね、『ラザード』達が初めてのヒトにここまで懐くのわ。」

「流石はゴシュジンダナ。この調子なら直ぐに一人前の戦士にナレルナ。」


『ラザード』と呼ばれた彼らは前の世界で子供の時に見た恐竜図鑑に出てきそうな見た目だった。

全身に鱗が生え、小さいけれど鋭い爪があり、大きな足で二足歩行を行う、人よりも大きな

まさに恐竜、恐ろしき竜種なのだが、

「キュイキュイ、キュイーン、キュンキュン、キュキュン、キュルキュル、キュルルン」

かなりカワイイ声で鳴いてらっしゃる。


「長い間この子たちの飼育をしてきましたがここまで懐いてるヒトを見るのは初めてですね。…ちょっと妬けます。」

「まぁ、嫌われるよりましでしょう。このまま案内を続けますね。」


この後聞いた話によると戦士の人たちはラザードにのって狩猟や他の集落に見回りなどを行って広い荒野に住み別れているリザード族全体を守っているらしい。

大体の説明を聞いた俺たちは俺のたっての希望で職人たちの詰め所に案内して貰うことにしたのだがその際ラザード達の寂しそうな鳴き声の合唱が凄かったのである…


・・・

・・


やって来た職人の詰め所は意外とノンビリしていた。

案内を買って出てくれたリザード族の職人によると基本的に戦士の武具の手入れがメインなので彼らが帰ってきたろ出ていくときは忙しいらしいがそう出ない場合はそこまで忙しくないらしい。

どの様な物を作っているのか見せて貰うことにすると予備の武具が在るということだったのでそれを見せて貰った。

濃いレッドメタリックの様な光沢を見せる鱗のついた革の防具に騎乗でも徒歩でも扱いやすいサイズに作られている骨をベースに作られている槍、仕留めた獲物の骨で作られた兜や装飾品などが出てきた。


「ここで作っているのはこういうものばかりだよ。君たちヒトからすれば気持ち悪いかもしれないね。」


ハハハと笑うリザード族の職人。

どうやらここの人たちは自分の腕の良さを分かっていないらしい。


「そうですね、このままの状態で売れば良くて1銀や2銀。ただ、適切な形にして売れば10銀や15銀は簡単に行くでしょうね。」


「ハハ、ハァ!?10銀だって!?ここの武具がかい!?」


「いえ、残念ながら武具として売るとそこまでいきません。ですが、こちらの革を貴族向けの製品にして、骨などは魔具として加工すればそれぐらい行きます。なんなら自分が買って行きましょう。」


【目利き】によると革は人の国にはない色合いの様で間違いなく貴族が食いつくし骨等もこの地域の濃い魔力を受けて育ってきたので魔具にすると非常に効果が高いらしい。

これはひょっとすると想像以上の大金脈かもしれないぞ。


「10銀、10銀あったら何が変えるんだっけ?鉄とか酒とかだったか?しかもどれぐらい買えるんだったかな!?え~と、あれ、分かんないや。と、とりあえずまた来てくれるかな。親方とか他の職人にも伝えないといけないから、また来てくださいお願いします。」


「ええ、構いませんよ。こちらはお金での支払いでも物々交換でも構いませんのでそれも伝えておいてください。次に来るときは一度連絡しますのでよろしくお願いしますね。」


そう告げると俺たちは職人たちの詰め所を後にした。


「ゴシュジン、横から聞いてたがホントに売れるノカ?ヒトはウロコとかホネとか嫌いダゾ。前に売ろうとして断られたって聞いタゾ」


「確実に売れる、というか売る。それにさっきも言った通り売り方なんだよ。そっちが売ろうとした時はそのままで売ろうとしたんだろう?それじゃぁ売れないよ。だって人の国には鉄製武具がいっぱいあるからな。たとえさ。だから狙いを変えるんだ。武具を扱う戦士でなく、にな。いやぁ~、楽しみになってきたぞう。」


ワッハッハ、と笑いながら次の目的地である『塩の祠』に向うとしよう。

いやはや、笑いが止まりませんな。

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