4#クジャクを追って
ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ・・・
「・・・ったく、あのクジャクがハクチョウの女王様に何か悪いことでもしたのか解んないよ。」
ハクチョウの女王様の召し使い鳥のマガモのマガークは、何処へと去っていったクジャクのジャニスを追いかけに、湖の周りの草木をわけ入りながら数羽の仲間達と話した。
「しっかし、僕らは翼があるのにこんなに鬱蒼とした山林じゃ飛ぶことも出来ないなんて。
あのクジャクを上空なら、直ぐに見付けられるのに。」
同じく召し使い鳥のカナダガンのポピンも、凸凹した道を鰭足で歩く事に四苦八苦していた。
「ねえ、ハクチョウの王様も付いていくの?」
「え、ええ。アヒルのピッピちゃん。
だって、一応女王様の夫だよ。わたくし・・・じゃなくて俺。
『夫』として、『側近』として、けじめを付けなきゃな・・・とね。」
「で、何でハクチョウの女王様は、あのクジャクを憎んでるの?」
「それは後で言う。」
「隠さないでよ。何で・・・?」
「盗んだ。」「何を?」
「あっ!!」
「なんだい?ピッピちゃん。」
「見つけた。」
アヒルのピッピは、草叢にクジャクの美しい尾羽が引っ掛かっているのを発見して、拾い上げた。
「王様、クジャクさんはまだ遠くへは行ってないと思うよ。」
ぽつ・・・
ぽつ・・・
ぽつ・・・
ざあぁぁぁぁぁーーーーーー!!
「やばっ!!」
「雨が本降りになった!!」
「でも、俺ら『水鳥』じゃん。雨がどうってこと・・・」
「あるよ!!ほら!!僕らの行こうとしてる先!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!
「おいおいおい!!なんじゃこりゃ!?」
鳥達は唖然とした。
「こんなとこに川が流れてたっけ?!」
「小河が、突然の豪雨で水嵩が増してるんだよ?!」
「でも俺ら、『水鳥』だろ?川が何だって、泳いで渡れるじゃないか?!」
「冗談じゃないっ!!川が激しい流れなのに、渡るどころか流されるに決まってるんだろ!?」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!
「ねぇ、王様。あれ見てよ?!あの川の向う岸!!」
ハクチョウの王様のフリードがカナダガンのポピンに言われて、目を凝らして豪雨のカーテンの向うの鬱蒼とした山林の奥から、あのクジャクのジャニスが現れて向う岸へやって来たのが見えた。
「クジャクさーーーーーん!!」
「こっちこっち!!戻ってこいよ!!」
鳥達が、大声でクジャクに呼び掛けると、羽毛の奥から翼で何かを取り出して、嘴にくわえた。
「ゴム風船?!」
「クジャクさん・・・萎んだゴム風船ををくわえて・・・まさか?!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます